2019年10月15日号
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artscapeレビュー

曽谷朝絵「宙色(そらいろ)」

2013年08月15日号

会期:2013/07/27~2013/10/27

水戸芸術館[茨城県]

虹色に輝くバスタブや水滴をはらんだガラス窓など、光あふれる光景を描いてきた曽谷の大規模な個展。初めのほうの展示室では清冽なタブローが並び、途中には色とりどりのシートを波紋状に切り抜いて壁や床に貼ったインスタレーションの部屋もある。圧巻は、天井から吊るした鏡の球体にアニメーションを投影し、展示室全体に色彩を反映させた新作の映像インスタレーション《宙》。ひととおり見て歩くと、虹色の絵画に始まり、着色シートを切り抜いて貼ったインスタレーションに移行し、アニメによる映像インスタレーションに到達したことがわかる。平面(2次元)→立体(3次元)→映像(時間)と一歩ずつ着実に進歩しているし、そのチャレンジングな姿勢には感心するが、しかし映像だけ見ると、どこかで見たようなありふれたイメージのように感じてしまう。唯一無二のイメージを確立した絵画に比べ、映像だとだれでもできそうに思えてしまうのだ。言い換えれば、それだけ絵画で光を表わすのが難しく、だからこそ価値があったのであって、最初から光である映像で光を表現しても珍しくないということだ。もちろん彼女自身そんなことは百も承知で、いまさら映像に転向するつもりはないだろうし、あいかわらず絵も描き続けている。とくに最近の絵はこれまでと違った方向性を感じさせ、期待がもてる。

2013/07/27(土)(村田真)

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