artscapeレビュー
上出惠悟「楽園創造──芸術と日常の新地平」
2013年08月15日号
会期:2013/07/13~2013/08/24
ギャラリーαM[東京都]
事前情報なしで行ってみたら陶磁器が並んでいたので面食らう。もちろんたんなる伝統工芸でもなければ実用品でもない。たとえば真っ白いバナナが紋(商標?)入りで焼かれていたり、花柄の割れた皿を金継ぎで再生して富士山の輪郭を浮かび上がらせたり、磁器の表面にアラビア文字を書いてみたり、釉薬が表現主義絵画のように下まで流れ落ちていたり。古今東西を混淆させ、絵画と陶芸の垣根を取っ払いつつ、実用品として使えないこともないというヌエのような作品。まさに日本的? 作者は九谷焼窯元・上出長右衛門窯の6代目で、東京藝大の油画科で学んだ経歴をもつ。
2013/07/25(木)(村田真)