artscapeレビュー
2014年06月15日号のレビュー/プレビュー
都築響一「独居老人スタイル」展(後期)
会期:2014/05/03~2014/06/01
ナディッフギャラリー[東京都]
アウトサイダーな独居老人シリーズ第2弾。今回は秋山祐徳太子、戸谷誠、首くくり栲象、ダダカン、川崎ゆきおと知る人ぞ知るラインナップ。中央のテーブルに秋山祐徳太子のブリキ彫刻が並び、壁には戸谷誠が延々と描き続ける絵巻や、股間に黒い卵の殻をつけて逆立ちするダダカンの写真、自宅で何十年も首吊りイベントを繰り返す首くくり栲象のビデオ、ダウナー系の漫画家川崎ゆきおの原画などが展示されている。前期の「素人」たちに比べると知名度も生産量も高い「アーティスト」が多いせいか、作品は数段グレードアップした反面、展示は各アーティストの顔見せ的な紹介にとどまり、炸裂感には乏しかった。
2014/05/04(日)(村田真)
403architecture[dajiba]
会期:2014/03/21~2014/05/11
[静岡県]
浜松に向い、辻琢磨の案内で、403Architectureの仕事を拝見する。市街地のリノベーションやインテリアの物件が多い。彼らのオフィス、美容室、倉庫、ギャラリー、衣服店、眼鏡店など、計6件をまわった。古材を再編集し、その場所と意味を変えていく表皮のデザインと、東京とは異なる地元のネットワークが生む空間が印象的である。
2014/05/04(日)(五十嵐太郎)
ふじのくに⇄せかい演劇祭 『マネキンに恋して──ショールーム・ダミーズ──』
会期:2014/05/03~2014/05/04
静岡県芸術劇場[静岡県]
静岡のふじのくに⇄せかい演劇祭へ。自ら人形を制作するジゼル・ヴィエンヌ演出の『マネキンに恋して』を観る。マゾッホの『毛皮のヴィーナス』に着想をえた作品で、仮面とハイヒールの女性ダンサーが男のまわりで踊る。当初は人間とみまがう幾つものマネキンが舞台の背景に置かれるのだが、終始、動かないのに異様な存在感を維持していた。
2014/05/04(日)(五十嵐太郎)
ふじのくに⇄せかい演劇祭 演劇公演『Jerk(ジャーク)』
会期:2014/05/03~2014/05/04
舞台芸術公園 稽古場 Boxシアター[静岡県]
ジゼル・ヴィエンヌ演出の『Jerk』には度肝を抜かれた。27人の少年を殺したテキサスのゲイの実話をもとにした作品である。椅子に座った一人の俳優が、人形劇や腹話術、観者に要請するテキストの黙読などを通じて、連続殺人事件を再現する。ぬいぐるみや人形なのに、おぞましい猟奇殺人の現場が生々しく伝わる。『Jerk』は、聴衆に語りかける形式ゆえに、観者も否応なく芝居の一部に引きずり込まれ、最後はここが監獄なのか精神病院なのかという疑問が生じ、これまで語られた内容に別の解釈も浮かぶ。人形に生命を与えながら、人をモノとして扱う犯罪を表現する、俳優ジョナタン・カプドゥヴィエルの演技力に感心させられた。
写真:磯崎新《静岡県舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」》
2014/05/04(日)(五十嵐太郎)
MOTアニュアル2014フラグメント──未完のはじまり──
会期:2014/02/15~2014/05/11
東京都現代美術館 企画展示室3F[東京都]
東京都現代美術館の『MOTアニュアル2014フラグメント』展へ。今回はタイトルがまさに各作品を串刺しにするテーマとなっている。また展示デザインや空間構成も良い。高田安規子・政子によるスケールや素材を横断するミニチュア細工が興味深い。福田尚代は本と文具を操作、青田真也は表面を削った静物画、パラモデルは地下鉄の駅をどんどんつなぐ。
写真:上から、パラモデル《キソまたはウソの模型》、高田安規子・政子《修復》
2014/05/05(月)(五十嵐太郎)