artscapeレビュー
2015年05月15日号のレビュー/プレビュー
今井兼次《碌山美術館》
[長野県]
竣工:1958年
松本のゼミ合宿で、隣の安曇野市にある今井兼次の《碌山美術館》へ。外観は厚い壁の教会のような、北欧的なロマンティシズムあふれる建築である。ドアまわりの装飾も、今井らしい。ただ、展示空間として使われる内部のデザインが、外部とかなり断絶している。ここには今井以外の手による複数の棟が存在している。地方ゆえに、余裕のある展示空間はもっと効果的に生かせそう。
2015/04/17(金)(五十嵐太郎)
内藤廣《安曇野ちひろ美術館》
[長野県]
竣工:1997年
続いて、内藤廣による《安曇野ちひろ美術館》へ。背景に山々のシルエットが見え、切妻の屋根が並ぶアウトラインと見事に呼応している。三角屋根をヴォールトに置き換えると、ルイス・カーンのキンベル美術館のような空間の構成であり、サブのスペースを間に挟みながら、シンプルな矩形のヴォリュームを多様な用途に振り分ける方法も共通している。すでに増築されているが、今後も、このエリアに内藤による建築群が増えるようだ。
2015/04/17(金)(五十嵐太郎)
立石清重《旧開智学校》
[長野県]
竣工:1876年
松本市内に戻り、《旧開智学校》へ。久しぶりに訪れたが、入魂というべき濃密な装飾で覆われた造形に、当時のこの建築への意気込みがうかがえる。
2015/04/17(金)(五十嵐太郎)
竹山聖《サードミレニアムゲート》
[長野県]
竣工:2001年5月
竹山聖の《サードミレニアムゲート》は、名前のとおり、世紀の変わり目に竣工したプロジェクトで、角地のランドマークとなる強く、激しい造形だ。そして松本城を背景にゼミ合宿の記念写真を撮影する。近年、急激に増えていると聞いたが、松本では、外国からの観光客が多いことに驚かされる。
写真:上・中=《サードミレニアムゲート》、下=《松本城》
2015/04/17(金)(五十嵐太郎)
燕子花と紅白梅──光琳デザインの秘密
会期:2015/04/18~2015/05/17
根津美術館[東京都]
尾形光琳の300年忌を記念し、根津美術館所蔵《燕子花図屏風》とMOA美術館所蔵《紅白梅図屏風》の2点の国宝屏風を並陳している。この2点が並ぶのは、今上天皇が皇太子のときの結婚記念以来なんと56年ぶりという。でも半世紀前に比べてこれだけカラー印刷があふれ、ネットで自由に画像を検索できるようになった現在、この2点を実際に並べることのありがたみは確実に薄まってるような気がする。いや、よく考えれば逆に強まっているのかも。記者発表の講堂にも《燕子花図屏風》のレプリカが置いてあったけど、いまの技術からすれば精巧なレプリカを陳列してもたぶんだれも気づかないだろうなあ。
2015/04/17(金)(村田真)