2021年12月01日号
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artscapeレビュー

2010年03月15日号のレビュー/プレビュー

永沼敦子「目くばせ」

会期:2010/02/01~2010/02/18

ガーディアン・ガーデン[東京都]

永沼敦子は2002年に「写真ひとつぼ展」に入賞し、デジタルカメラで電車の車内を撮影した「bug train」のシリーズで注目された。だが、2009年に故郷の鹿児島に拠点を移し、写真家として次のステップを踏み出そうとしている。今回は、「写真ひとつぼ展」で惜しくもグランプリを逃した入賞者にあらためてスポットを当てる「The Second Stage at GG」の枠での展覧会であり、いまの永沼にはぴったりのタイミングだったと言えるだろう。
あたかも蠅の眼に成り代わって、空中を軽やかに浮遊しながら撮影したような以前の写真と比較すると、撮影のスタイルが大きく変化している。大地に根をおろしたようなどっしりとした安定感のある視線の質は、以前の永沼では考えられないものだ。被写体も人間の世界だけではなく、樹木、花、水、光や風など、「自然界たちが発するサイン」に目を配るようになってきている。鹿児島という母なる土地は、2009年に500回以上も噴火したという桜島を見てもわかるように、単純に優しいだけではなく「破壊と創造」のエネルギーに満ちあふれている。そういう力強い自然の営みを、丸ごと抱きとるようにカメラにおさめていこうという姿勢が、彼女のなかにしっかりと根づきつつあるようだ。
ちょっと気になったのは、壁一面にバラバラにずらしながら貼られ、床まではみだしてくるような展示のやり方。以前の「bug train」の浮遊感のある写真ならいいのだが、今回はややそぐわないように感じる。もう少しオーソドックスなフレーミングの展示でもよかったかもしれない。

2010/02/13(土)(飯沢耕太郎)

メタル放送大学

会期:2010/02/13

横浜創造界隈 ZAIM[神奈川県]

かつてこれだけゲストが蔑ろにされたイベントも珍しいだろう。筆者は、音楽におけるメタルとは何かということもよく分かっていないのであるが、たまたま機会があってこのイベントを会場で見ていた。呼ばれたゲストは登場時の拍手もない、発言の機会も最後まで少ない、ゲストの何人かは用意してきたネタも披露できないまま終わってしまうなど、イベントとして多くの不備があったと感じざるを得なかった。メタルに関して多少知識が増えたことは良かったけれども、まるで主催者側がゲストであるかのようなイベントにも感じた。ネガティブであるけれども触れるのは、ustreamなどでもすでに公開中継をしていたし、また筆者は会場で会費を払って見ていたためでもある。加えて、音楽イベントでありつつ、建築系のゲストが多かったからでもある。
さて、この経験を誰がどう活かすべきか。五十嵐太郎氏もツイッターなどで書いていたように、特にこれからイベントを企画する学生などが、反面教師とすべき点は多いだろう。ところで、筆者がむしろ興味深く思ったのは、このイベントがutream+twitterという、ここ半年ですでにイベントの標準と化した方法で外部に発信しており、途中外野からイベントの進行に対する問題を指摘する書き込みが山ほどあったにも関わらず、それがまったく機能しなかった点である。会場ではそのコメントが後ろの画面に投影されてもいた。個人的にはなんだかんだと楽しんで見ていた側であり、主催者側も苦労しつつのことであったと思うが、特にさまざまなイベントが増えつつある建築分野において、このようなイベントから、メディアを誰が何の目的で使うのかということに関して学ぶことは、とても多いのではないかと思った。主催者には、ぜひ次回以降、より良いイベントを続けて頂きたい。

http://www.akumanoshirushi.com/metal2.htm

2010/02/13(土)(松田達)

宮島達男「その人と思想」展

会期:2010/02/04~2010/04/11

BLDギャラリー[東京都]

新著『宮島達男・解体新書』の出版記念展らしい。学生時代の演習から、ヴェネツィア・ビエンナーレの「アペルト88」にデビューするあたりまで、初期のパフォーマンスや作品写真を集めたもの。学生のころのヒリヒリするような痩身の青年は、現在の温和な姿からは想像できませんね。

2010/02/13(土)(村田真)

堀川紀夫 展

会期:2010/02/08~2010/02/20

ギャラリー檜[東京都]

ニュアンスに富んだ青い絵具で垂直線をリズミカルに描いている。滝のようにもオーロラのようにも見える美しい絵。作者は60年代末に新潟の現代美術家集団GUNで活動し、80年代から絵画に回帰した。

2010/02/13(土)(村田真)

ラファエル・ローゼンタール“I am good”

会期:2010/01/23~2010/02/20

タクロウソメヤコンテンポラリーアート[東京都]

いつまでも爆発し続けたり、どこまでも風景が移り変わったり。あるいは、マウスを動かすと傷口ができて血が滴ったりするカラフルなアニメーション。ネット上で作品を公開し、販売もするのだが、売るのは作品が載るドメインそのもので、売った後もだれでも見られるようにコレクターと契約を交わすという。これはおもしろい。そのアイデアスケッチみたいなドローイングも手抜き加減が絶妙。

2010/02/13(土)(村田真)

2010年03月15日号の
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