artscapeレビュー
2009年10月15日号のレビュー/プレビュー
やなぎみわ 婆々娘々!
会期:2009/06/20~2009/09/23
国立国際美術館[大阪府]
CGを使った初期の《エレベーターガール》から、半世紀後の自分に扮する《マイ・グランドマザーズ》、今年のヴェネツィア・ビエンナーレに出した巨大な最新作《ウィンドスウェプト・ウィメン》まで出品。ウムをいわせぬ迫力に圧倒される。まいりました。
2009/09/11(金)(村田真)
慶應義塾をめぐる芸術家たち
会期:2009/06/20~2009/09/23
国立国際美術館[大阪府]
なんで大阪で慶應の展覧会を?と疑問に思ったら、慶應義塾を創設した福沢諭吉が美術館の近くの堂島浜に生まれ、しかも「水都大阪」の会場のひとつでもある適塾で学んだという大阪人だからだ。でも慶應には美術学部もないのに、だれがなにを出すんだ? というと、詩人の西脇順三郎や瀧口修造、彫刻家の飯田善國、版画家の駒井哲郎らOBと、慶應の建築を手がけた谷口吉郎、その谷口とコラボしたイサム・ノグチの作品を展示していた。でも小品が多いし、あまり脈絡もないし、やなぎの作品を見たあとでは吹っ飛んでしまいますな。ま、KO負けってことで。
2009/09/11(金)(村田真)
児玉靖枝 展「深韻II」
会期:2009/09/07~2009/09/19
Oギャラリーeyes[大阪府]
《深韻》というシリーズの最新作を発表。展示作品はどれも、水面に映る光景を描いたものだが、暗い森の木々の間を通り抜けるような微妙な光線、温度や周囲一帯の湿度の感触など、作家が目にし、感受したその風景を追体験するような感覚を覚えた。現実と幻の入り混じった、映像を見ているような気持ちにもなる底知れない奥行きを感じる。深く沈んでゆくような色の豊かな表情が美しく、タイトルを反芻するように余韻に浸った。ちなみに児玉さんは現在開催中の神戸ビエンナーレ招待作家展「Link──しなやかな逸脱」(兵庫県立美術館、10/3~11/23)に出品中。まるで画面の奥から音が聞こえてくるかのような作品が並ぶ。
2009/09/11(金)(酒井千穂)
山内庸資 展「a Corner」
会期:2009/09/07~2009/09/19
ギャラリーwks.[大阪府]
会場のライトはついているが、絵画作品を見るための空間にしてはずいぶん薄暗い。展示をひとつずつ順に見ていくが、画面には光沢があり、照明に反射するので、実際に塗られた色がいっそうわかり難く少しもどかしい。けれど、聞くとそれも作家の意図だという。必然的に眼を凝らしながら見ることになる作品には、木の枝や草むらの向こう側に見える山の景色や動物のほか、脈絡のつかめない不思議なモチーフも描かれている。たしかに、物語の序章のページを開き、文字を読みながらそこで何が起こっているのかを理解しようとするときのような気分。ゆっくりとその世界に見る者を誘っていく演出が愉快だったが、魅力的な作品なのにそれらの色彩がよくわからなかったのはやはり残念。次回見る時の楽しみにしておく、というのももったいないような気がした。
2009/09/11(金)(酒井千穂)
北浦和也 展「デテくるモノ」
会期:2009/09/14~2009/09/19
番画廊[大阪府]
水道の蛇口からゾウやニワトリがニュルッと出てきている壁面の展示、大きなパンダが飛び出している小屋のインスタレーション。入口の扉を開けるよりも先に目に飛び込む窓越しの会場の光景がすでに楽しく気持ちが盛り上がる。小さなものから大型の造形まで、木彫の作品がずらりと展示された空間は、調和のとれた色彩にも溢れているが、どっしりとした素材の重量感のせいもあるのか、作家のイメージが充満した濃厚な空気を放っていた。見ていると気分がすっきりしていく迷いのない鑿の跡とユニークな表現がじつに愉快だった。
2009/09/11(金)(酒井千穂)