2019年04月15日号
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artscapeレビュー

畑直幸「Pelletron new no.4」

2012年03月15日号

会期:2012/02/06~2012/02/23

ガーディアン・ガーデン[東京都]

畑直幸はかなり面白い経歴の持ち主だ。プロの美容師として活動しながら写真を撮り始め、ホンマタカシのワークショップで学ぶ。2011年に第4回「1_WALL」でグランプリを受賞したのをきっかけに、本格的に写真家として作品を発表し始め、現在はオランダのアート・スクールに留学中である。こういう横道からひょいと飛び込んでくる者の方が、面白い仕事をすることが多い。畑も将来的には多いに期待できそうだ。
だが、ガーディアン・ガーデンでの「1_WALL」受賞作品展を見る限り、その才能をまだ活かしきれていないように感じた。「中性子核データ測定」のための加速装置、特にそのうねり、もつれ合い、絡み合うコード群を撮影するというアイディアは悪くないし、画像の処理も的確だ。だが、それが会場内に展示されている様子を見ると、うまくまとめようという意識が強く出過ぎているように感じてしまう。コードやチューブの現物を写真とともに配置したインスタレーションも、予測の範囲に留まっていて、かえって小綺麗にまとまっているように見える。一度センスのよさをかなぐり捨てて、もっと極端な方向に走ってもらいたい。さもないと「悪くない」という範囲におさまってしまうのではないだろうか。幸いなことに、オランダという環境は彼自身を大きく成長させる可能性を持っていると思う。むしろ、ヨーロッパのギャラリーや美術館に、日本人の写真家として認められるような活躍をしてほしい。

2012/02/14(火)(飯沢耕太郎)

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