artscapeレビュー
松井冬子 展──世界中の子と友達になれる
2012年03月15日号
会期:2011/12/17~2012/03/18
横浜美術館[神奈川県]
横浜美術館では毎年のように30代前後の若手作家の個展を開いているが、いつも気がかりなのは広い会場が埋められるかどうかということ。たかだかキャリア10年程度で人さまにお見せできる作品がどれだけあるのか、横浜美術館の大空間に耐えうる作品がどれほどつくれるのか、疑問に思わないでもない。実際だれとはいわないが、展示室を進むにつれ作品が間延びし、最後はかろうじて埋めました的なツライ展示もあった。とりわけ今回は日本画で、しかも寡作といわれる松井冬子だけに、スカスカにならないか心配だったが、杞憂に終わりましたね。しかも一作一作かなり入魂の様子で、展覧会全体に異様な緊張感がみなぎっている。さすが松井さん、伊達ではありませんね。でも、作品のほとんどがモノクロームに近く、テーマやモチーフにも幅がない(よくいえばブレない)ため、見終わったあと、たくさんの作品を見たとか、いろんな作品を見たという印象が薄い。ある意味、全体でひとつの作品みたいな。それはそれでスゴイが。
2012/02/13(月)(村田真)