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artscapeレビュー

難波田史男の15年

2012年03月15日号

会期:2012/01/14~2012/03/25

東京オペラシティアートギャラリー[東京都]

難波田史男は1974年に32歳の若さで夭逝した画家。同展には10代の終わりから晩年まで約240点が展示されている。ざっと見て気がつくのは、最初期を除いてスタイルがほとんど変わらなかったこと。もちろんわずかながら変化は見られるものの、基本的に紙にインクと水彩でクレーのできそこないみたいな半抽象画を10年以上描き続けた。それがわからない。20代という多感でエネルギッシュな年代に、延々と紙に似たり寄ったりの絵をチョロチョロと描き続ける意図が理解できない。端的にいえば、なぜキャンヴァスに油絵を描かなかったのかということだ。別に油絵のほうがエライとはいわないが、少なくとも吹けば飛ぶようなペラペラの紙より恒久性があり、確固とした存在感があるのはたしかだろう。紙しか選択肢がなかったなら話は別だが、家庭的にもごく身近に油彩の画材はあったはず。あ、だからなのか。ごく身近に超えられない油彩画家がいたから、自分は同じ道を回避してあえて脆弱な素材にこだわったのか。だとしたら相当の屈折と葛藤があったに違いない。階上のコレクション展をのぞくと、ここにも史男の絵が3点かけられているのだが、その横にはオヤジ龍起の硬質なマチエールの抽象画も並んでいる。両者を見比べてみると、物質的にも構造的にも強度の違いは明らかだ。

2012/02/19(日)(村田真)

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