2021年10月15日号
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artscapeレビュー

東京五美術大学連合卒業・修了制作展

2012年03月15日号

会期:2012/02/23~2012/03/04

国立新美術館[東京都]

近年、美大ごとの特色が失われ、均質化しつつあるように感じていたが、今年はわりとはっきりと違いが表われたように思う。とくに武蔵美と多摩美。この2校はいつになく優秀作が多く、平均点も高く感じられたが、それぞれ見てる方向が違うような気がする。武蔵美は絵画も彫刻も正面からマジメに追求しているという印象だ。たとえば、4脚の椅子を積み上げたアトリエ風景を描いた大高友太郎の絵は、ただそれだけといえばそれだけなのだが、自分の置かれた場所から絵画を立ち上げようとする姿勢が感じられたし、布をかけた鏡を木彫にし、鏡像をレリーフ状に彫った茂木美里は、あえて非彫刻的なモチーフに挑んでいるように思えた。対照的に多摩美はサブカル系が多く、マンガチックな表現やセンセーショナルな作品が目につく。床にギザギザの穴が開いてるように錯覚する絵を置いた吉野ももの作品は、単にトリックアートというだけではすまされない強さを感じさせるし、粗い麻に内臓的モチーフを描いた松本奈央子や、李禹煥の失敗作のような宮原明日香の絵はそれだけで目を引く。女子美はなぜか動物ネタが多く、ぬるいメルヘンチックな空気に包まれている。造形はいちばんアンチフォーマルなインスタレーションが多い反面、井上琴文や小川晴輝ら注目すべき抽象絵画もあった。日芸は相変わらず団体展の予備校といった印象しかない。全体的に既視感が漂っていたのは、「ワンダーシード」に出してる学生が多いせいかも。

2012/02/27(月)(村田真)

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