2021年10月15日号
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artscapeレビュー

バリー・コロンブル「Barry Kornbluh」

2012年03月15日号

会期:2012/02/10~2012/03/04

リムアート[東京都]

これも恵比寿映像祭の連携展示だが、動画ではなく純粋な静止画像の写真展である。昨年個展が開催されたサンネ・サンネスもそうだったのだが、リムアートでは時々思いがけない(まったく名前もきいたこともない)写真家が紹介されることがある。今回のバリー・コロンブルもサンネスと同じくオランダ在住の写真家。ざらついた、印画紙の粒子を強調した、黒白のコントラストの強いプリントに共通性がある。だが、コロンブルはオランダ人ではなく、1952年生まれのアメリカ人で、90年代にオランダの女性と結婚したのをきっかけにアムステルダムに移住したのだという。
被写体になっているのは身の回りの人物たち(ヌードが多い)や日常の光景であり、その大胆な切り取り方に、ジャズのインプロヴィゼーションのようなセンスのよさを感じる。ただ、サンネ・サンネスのようなエロティシズムの深みへの偏執狂的な固執はなく、ずっと穏やかな作風だ。経歴的にはエド・ファン・デル・エルスケンのようなオランダ、あるいはフランスの写真家たちではなく、「キアロスクーロ」を意識したモノクロームの美学を追求するアメリカのラルフ・ギブソンの系譜と言えるかもしれない。おそらくオランダには、日本ではまだあまり知られていないサンネスやコロンブルのような魅力的な写真家たちが、もっとたくさんいるのではないだろうか。さらなる発掘、紹介を期待したい。

2012/02/17(金)(飯沢耕太郎)

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