2021年10月15日号
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artscapeレビュー

靉嘔──ふたたび虹のかなたに、田中敦子──アート・オブ・コネクティング

2012年03月15日号

会期:2012/02/04~2012/05/06

東京都現代美術館[東京都]

同時期に同世代のアーティストの個展をぶつけたのはどういう意図なのかわからないが、せっかく両方とも見たんだから比較してみるのが礼儀というものだろう。靉嘔(1931-)も田中(1932-2005)も50年代にそれぞれデモクラート美術家協会、具体美術協会という前衛芸術運動に参加し、その後どちらも色鮮やかな作品を追求してきた。しかし靉嘔のほうは、50年代末にニューヨークに渡り、フルクサスと合流してパフォーマンスやインスタレーション(当時は「ハプニング」「環境芸術」などと呼ばれた)を展開。トレードマークともいうべき「虹」を創作し、絵画や版画だけでなくインスタレーションにも応用、長さ300メートルの虹の旗をつくってエッフェル塔からたなびかせたこともある。いってみれば、やんちゃな前衛小僧といった趣だ。一方、田中は具体の初期にカラフルな電球を身にまとう《電気服》を発表し、パフォーマンスも行なったが、その後は一貫して極彩色の絵を描き続けてきた。赤や青や黄色の円のあいだを線がのたうつその絵が、実は電気服の配線図から展開されたものであることを今回初めて知った。なるほど、そういわれりゃそうだよなあ。でもそれを延々と増殖させ続けたってのがスゴイ。草間彌生よりある意味イッてる感じ。靉嘔も「虹」で半世紀もたせたけど、手を替え品を替えやったからな。振り返ってみると、靉嘔はすでに現代美術史に組み込まれて過去の名前になってしまった感があるけど、田中のほうは亡くなったにもかかわらず、まだ現在進行形で円と線がつむがれているような気がする。この違いはなんだろう。前衛的発散型(靉嘔)とオタク的内閉型(田中)の違いか。

2012/02/03(金)(村田真)

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