artscapeレビュー
竹内麻 展「大体、アラスカマニラ」
2013年04月15日号
会期:2013/03/012~2013/03/017
ギャラリーすずき[京都府]
名古屋芸術大学で版画を学ぶ竹内麻の個展。繊細な線と、企みを隠しているような人物や動物のモチーフ、毒のあるユーモアが興味をそそるものばかりで、一点一点がとにかく気になる。作家自身は見る人がそれぞれに想像と解釈を楽しんでもらえたらと話していたが、引っかかる謎の要素が多く、つい、これは?あれは?と根掘り葉掘り尋ねてしまった。作品のすべてに呆れるほど詳細なストーリーがあるのが面白い。竹内は、日頃、何気なく頭に浮かんだ言葉や耳にした音の響きからイメージを広げ、物語を想像し描いているのだというが、想像というよりも、それはもはや妄想にも達しているイメージの飛躍とリアルな感覚。なんて豊かな感受性と自由な想像力なのだろうと感動するほどだった。夢と現実が入り混じるような荒唐無稽な場面にも、それぞれに悲しみ、喜び、美しさと醜さなど玉石混淆の人間ドラマがあり、それらが交錯するリズミカルな構図にも惹きつけられる。今後の作品発表も楽しみだ。
2013/03/16(土)(酒井千穂)