artscapeレビュー
ルーベンス──栄光のアントワープ工房と原点のイタリア
2013年04月15日号
会期:2013/03/09~2013/04/021
Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]
待望のルーベンス展。といっても2、3千点もの作品を残したといわれるルーベンスだけに、工房作品や版画も含めて80余点、しかもその大半が小品というのはちょっとさびしい。でもじつは捨てたもんでもない。油絵の大作だったら必ずといっていいほどアシスタントの筆が入っているが、小品のなかでも下絵や習作はほぼ間違いなくルーベンスの真筆と認められるからだ。トレ・デ・ラ・パラーダのための連作の油彩スケッチ6点はその好例で、一辺30センチにも満たないくらいの小品ばかりだが、それゆえにルーベンスの的確なデッサン力と軽快な筆運びが伝わってくる。いかにも肉々しい大作に辟易したムキには、こうした小品のほうがよっぽどうれしい。
2013/03/08(金)(村田真)
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