artscapeレビュー

松山賢「生きものカード(甲虫)」

2013年04月15日号

会期:2013/01/018~2013/03/03

アンシールコンテンポラリー[東京都]

カブトムシやクワガタと美少女を組み合わせた絵画。オタクならずとも垂涎のモチーフだ。今回は鉛筆画や水彩画も出ているが、メインは案内状にも使われたS100号の大作《生きものカード(カミキリムシ)》。黄緑色の川(池?)を背景に、青色のカミキリムシとオレンジ色のジャケットを着た少女が正面を向き(カミキリムシは背面)、同じサイズ、同じポーズ(?)で仲よく手(?)をつないでいるところが描かれている。固い殻におおわれた甲虫と柔らかそうな少女の対比、青とオレンジという補色関係、ミクロとマクロの同サイズ化にもかかわらず、破綻なくまとまっている。さらに画面は、細かく分割彩色された明るい風景を基層に、なめらかなグラデーションで表された少女とカミキリムシ、そのカミキリムシの表面に盛り上げた細かいアラベスク模様、という次元の異なる3層から成り立っているのだ。これは学ぶところが多い。

2013/03/03(日)(村田真)

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