artscapeレビュー

石ノ森萬画館

2013年04月15日号

[宮城県]

石巻に1泊し、翌朝自転車を借りて海寄りの南浜町や旧北上川の対岸へ行ってみる。瓦礫はずいぶん少なくなったが、ポツンポツンと半壊の家が残るだけであとは土台だけの殺風景な元住宅地は、ほとんどそのまま変わってない。遠目には新築そのままでビクともしてないように見える市立病院と文化センターも、近づいてみると解体工事が始まろうとしていて心が痛む。そんななか、旧北上川の中州に建つ卵形の屋根の石ノ森萬画館が先週リニューアルオープンしたというので、のぞいてみることに。さっそく入口のスロープに「龍神沼」の原画コピーが貼り出されている。忘れもしない『マンガ家入門』に「作例」として載っていた作品だ。当時マンガ家志望で石森章太郎の大ファンだったぼくは、この本をむさぼるように繰り返し読んだものだ。しかし2階の展示室は案の定「仮面ライダー」に支配されていて楽しめなかった(3階は「サイボーグ009」で、こちらは懐しかった)。たどってみると、ぼくが石森章太郎に耽溺したのは60年代までで(「ボンボン」「となりのたまげ太くん」「ミュータントサブ」「サイボーグ009」「ファンタジーワールドジュン」……)、70年になるまでに終わっていたということがわかった。もう40年以上も前だよおおお。

2013/03/29(金)(村田真)

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