artscapeレビュー
ARICA 第24回公演「ネエアンタ」
2013年04月15日号
会期:2013/12/28~2013/03/03
森下スタジオ Cスタジオ[東京都]
サミュエル・ベケットの作品をベースにしたARICAの演劇「ネエアンタ」を見る。死んだ女性の声が響くなか、語らない男が部屋を動きまわるだけの単純な構成。山崎広太が異様に遅延された日常的な動作を行ない、窓、冷蔵庫、ドアの3つの開口を4回往復しながら、やがて身体の仕草がズレていく。プロット上は、生きている男に女の霊がとり憑いたものだが、見ているうちに、ふと、男の方が死んでいるのではないかと思った。映画『アザーズ』において、互いに他者である生者と死者の立場が入れ替わるように。
2013/03/01(金)(五十嵐太郎)