2022年01月15日号
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artscapeレビュー

川島崇志「新しい岸、女を巡る断片」

2013年04月15日号

会期:2013/03/08~2013/04/07

G/P GALLERY[東京都]

川島崇志は1985年宮城県白石市生まれ。2011年に東京工芸大学大学院芸術学研究科を修了し、12年にTOKYO FRONTLINE PHOTO AWARDでグランプリを受賞するなど将来を嘱望されている若手写真家だ。今回G/P GALLERYで開催された初個展「新しい岸、女を巡る断片」でも、その才能のひらめきのよさと作品構築の能力の高さを充分に感じとることができた。
出身地を見てもわかるように、東日本大震災とその余波は彼にも大きく作用したようだ。今回展示されたシリーズは、震災直後に被災地の海岸でたまたま見つけて撮影したという、2人の女性が写っている写真が基点となっている。彼女たちとのその後の交友を縦軸にして、川島自身の震災へのメッセージを絡ませながら、巧みに作品群をインスタレーションしていく。その手際は高度に洗練されており、彼がこの若さで現代美術と現代写真の文法をきちんと身につけていることに、正直驚かされた。欧米のスタイリッシュなギャラリーの空間に作品が配置されていたとしても、まったく違和感なく馴染んでしまうのではないだろうか。
だが、この洗練は諸刃の剣でもある。作品を見ていて、手法の多様性にもかかわらず、どことなく均質な印象を受けることが気になった。彼が震災の衝撃を受けとめ、咀嚼して作品化する過程で、行きつ戻りつしたはずの思考や行動の軌跡が、もう少し作品にストレートに表われていてもいいのではないのではないかとも思った。混沌を鷲掴みにするような野蛮さ、野放図さがほしい。それが持ち前の高度な作品構築力と結びつくことを期待したいものだ。

2013/03/15(金)(飯沢耕太郎)

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