artscapeレビュー
2016年05月15日号のレビュー/プレビュー
MOTアニュアル2016 キセイノセイキ
会期:2016/03/05~2016/05/29
東京都現代美術館[東京都]
「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」の展示は興味深い。ARTISTS’ GUILDとの協働企画であり、現代日本に対する彼らの構えが表明され、やや焦点が合わないクロッシングとは対照的だった。藤井光の抜け殻になったミュージアムとして東京大空襲祈念館など、突き刺さってくる作品が多く、規制について考えさせる問題提起になりえていた。
写真:上=ダン・ペルジョヴスキ 下=藤井光
2016/04/20(水)(五十嵐太郎)
アイアン・メイデン
会期:2016/04/20~2016/04/21
両国国技館[東京都]
最近ここで相撲を見たばかりなので、靴を脱いでの升席など、不思議な雰囲気である。久しぶりに見たアイアン・メイデンだが、年齢をあまり感じさせないパフォーマンスだった。世界ツアーゆえに、最新の技術に頼らず、世界各地の施設のスペックに関係なく対応できる幕を採用することで、簡単に背景を変化させるローテクなシステムや、ハイライトで突然登場する巨大空気人形のエディなど、なるほどの演出である。
2016/04/20(水)(五十嵐太郎)
久松知子「芸術家の研究所」
会期:2016/04/08~2016/04/28
岡本太郎記念館[東京都]
現在開催中の「生きる尊厳─岡本太郎の縄文─」展(3/2-7/3)の会場内で、昨年、岡本太郎現代芸術賞の岡本敏子賞を受賞した久松知子の新作2点を展示。1点は《芸術家の研究所》というタイトルで、太郎と敏子を中心に、手前に丹下健三と磯崎新が万博のお祭り広場と太陽の塔の模型を前に対座し、右手に花田清輝や針生一郎らしき顔が見える集団肖像画だ。時代は万博前の60年代末ごろ、場所はまさにこの記念館になった太郎の家。バックには太郎のつくったオブジェや著書などが散りばめられ、左上には巨大壁画《明日の神話》に付加されたChim↑Pomによる福島原発事故の絵も見える。もう1点は、遠景に太陽の塔やキノコ雲がいくつか描かれ、その手前(下半分)に黄色い田畑らしき平面が広がり、画面やや上を新幹線が横切る構図だ。よく見ると鉄腕アトムが飛んでいたり、《明日の神話》にも出てくる第五福竜丸らしき漁船も見える。これは同時期に制作された太陽の塔と《明日の神話》をダブルテーマにした絵だろう。妙なのは、画面の最下部が帯状にセメントで固められていること。ナゾの多い絵だ。
2016/04/21(木)(村田真)
ALLOY & PEACE
会期:2016/04/19~2016/04/24
スパイラルガーデン[東京都]
江口寿史、空山基、田名網敬一、寺田克也、中村哲也、フロリアン・クラールのイラストやドローイングを、鋳物技術を使って立体化する試み。フィギュアづくりと同じで、原型師が平面の絵から粘土で原型をつくり、鋳型を取って金属彫刻に仕上げていく。ちなみに今回は中村哲也が原型を制作したという。タイトルの「ALLOY & PEACE」は「合金と平和」という意味。なんで合金と平和が&でつながってるのかと思ったら、協賛してるのが株式会社平和合金だからだ。たぶん。
2016/04/21(木)(村田真)
《toyama キラリ》
[富山県]
竣工:2015年
富山において隈研吾が設計した《キラリ》を見学する。玄関の手前には、「キラリ」の文字をかたどったベンチがあってのけぞる。明確な境界がない図書館と、複数のフロアにまたがるガラス美術館が、エスカレーターに沿って斜めに展開するダイナミックな吹抜けを挟む。東京では考えられない、すべてを決まった用途で使い切らないゆったりとした空間が印象的だった。訪れる前は、なんというキラキラネームの公共施設(銀行も含むが)だと思っていたが、内部を体感して、キラリという名称は結構合っていると思った。
2016/04/21(木)(五十嵐太郎)