artscapeレビュー
2016年05月15日号のレビュー/プレビュー
《山梨県立美術館》《山梨県立文学館》
[山梨県]
前川國男による山梨県立美術館は、同じ頃に手がけた宮城県美術館と似て、浅いヴォールトを反復し、吹抜けでL字に階段を登る。その向かいにある山梨県立文学館は、大宇根建築設計事務所が手がけ、1989年に竣工した。師匠の前川のヴォールトや外壁のテクスチャーを意識しつつ、装飾的な要素や大空間が特徴的である。確かに、いまとは違い、公共施設にお金が使えて、ポストモダンが流行した時代の息吹が刻み込まれた建築だ。
写真:左=《山梨県立美術館》 右=《山梨県立文学館》
2016/04/23(土)(五十嵐太郎)
《山梨文化会館》《山梨県立図書館》
[山梨県]
竣工:1966年
丹下健三の《山梨文化会館》を再訪した。いま見ても力強く、かたちの意志を感じさせる建築である。D&DEPARTMENTが入っていた。その向かいに新しく登場した《山梨県立図書館》が、久米設計ぽいなあと思って、調べたらどんぴしゃりだった。明るく透明で、開かれた公共施設の現代的なテイストを凝縮した空間である。
写真:左上=《山梨文化会館》 左下、右=《山梨県立図書館》
2016/04/23(土)(五十嵐太郎)
《ほうとう不動》
[山梨県]
竣工:2009年
保坂猛が設計した《ほうとう不動》を見学し、食事をする。観光地において富士山を背景に柔らかい曲線の形態がアイコンとして機能している。高速から旧藤野町を通ると、山に白い封筒を模した巨大な《緑のラブレター》が見えるのだが、これはひどい。景観破壊と言えるレベルの現代アートはさすがに勘弁してほしい。
写真:左、右下=《ほうとう不動》 右上=「緑のラブレター」
2016/04/23(土)(五十嵐太郎)
鄭義信 三部作vol.2 たとえば野に咲く花のように
会期:2016/04/06~2016/04/24
新国立演劇場 小劇場 THE PIT[東京都]
ともさかりえほか、俳優もリアルな舞台美術も、ウェルメイドな演劇である。朝鮮戦争勃発時の福岡において、朝鮮人のアイデンティティ、アメリカと日本の関係などの社会背景に、古典的な恋愛と悲(喜)劇を絡ませる。ただし、物語を展開させ、事件を引き起こすあかねの執念的な行動がやや説明不足にも思えた。
2016/04/24(日)(五十嵐太郎)
ライアン・マッギンレー BODY LOUD!
会期:2016/04/16~2016/07/10
東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]
自然の風景のなかでの男女のヌード写真がカラフルだったり、厳しい環境と人体の対比が激しかったり。展示室のスケール感を最大限に活かした500枚のポートレートで埋め尽くされた巨大な壁は壮観だった。写真作品の端が平気で重なる思い切った展示である。
2016/04/24(日)(五十嵐太郎)