2021年08月01日号
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artscapeレビュー

2010年12月15日号のレビュー/プレビュー

五島記念文化財団20周年記念展「美の潮流」

会期:2010/10/30~2010/11/07

Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]

有望な美術家を毎年2、3人ずつ海外に送り出してきた五島記念文化財団の設立20周年を記念する展示。20年間で44人(美術部門のみ)が助成対象になり、今回はそのうち41人が出している。会場を一巡して感じるのは、日本画や工芸が多く、いわゆる現代美術系が少ないということ。おそらく選ぶほうは特定のジャンルに偏らずに選んでるんだろうけど、海外研修の需要も必要性も日本画・工芸系より圧倒的に現代美術系のほうが高いんじゃないか、というのは偏見かしら。でも出品作品のなかで1等賞をあげるなら日本画系の岡村桂三郎だ。破格のサイズもさることながら、ほかの作品を睥睨するような図柄にも圧倒される。まあここまで来ると日本画も西洋画も超えてしまっているが。ちなみに助成を受けた44人のうち、男は35人で全員出品しているが、女は9人中6人しか出してない(不出品は加藤美佳、束芋、塩保朋子の3人)。不出品と性差にはなにか関係があるのかとも思ったが、たぶん3人とも超多忙だったり仕事が超細密だったりするんで出せなかったんだろう。そうすると男のほうがヒマなのか。

2010/11/05(金)(村田真)

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アートの課題──サイレント・ボイス

会期:2010/10/02~2010/12/12

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

政治や歴史に切り込むアジアの女性アーティストに焦点を当てた企画展。ほとんどの作品が映像なのでスルーさせていただきました。だって全部見てると何時間もかかるんだもん。ひとつだけ目が止まったのが、アラヤー・ラートチャムルンスックの《マネの「草上の昼食」とタイの村人たち》。竹林の前に「草上の昼食」の複製を置き、村人たちがカメラに背を向けて絵に見入っている映像だ。西洋と非西洋、都市と田舎、芸術と農業、女性ヌードとそれを見る男性鑑賞者が好対照をなして描かれていて、思わす笑ってしまった。

2010/11/05(金)(村田真)

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坂茂《成蹊大学情報図書館》

[東京都]

竣工:2010年

坂茂の設計による図書館。左右のヴォリュームは大学本館の外装材にあわせ、レンガタイルで覆われている。特に注目すべきは中央のガラス張りのアトリウム空間を内包したヴォリュームである。中に浮かぶ複数の玉ねぎ型の球体。細い足で支えられ、それぞれ空中歩廊などからアクセス可能である。これらはグループ閲覧室であり、静かな図書館に対して、もっと自由に気軽に話をしたりできるスペースを設けようという、この図書館のコンセプトを体現したような部分である。この立体的な空間の使い方から、同じ坂茂による銀座のスウォッチ・ビル(《ニコラス・G・ハイエックセンター》)が思い浮かぶ。多数のエレベーターによって、1階からそれぞれのブランドのフロアにいくことができるという構成は、建築の立体的な自由度を高めているという意味で、この図書館との共通点が感じられる。

2010/11/06(土)(松田達)

北城貴子

会期:2010/11/02~2010/11/28

アートフロントギャラリー[東京都]

緑の木立をサラリと描いた絵が印象的だった北城だが、今回は白やピンクの花がちりばめられた絵に。というより、点描風の筆触のひとつひとつが花に見えるというか。もともと抽象画を描いていたらしいから、先祖帰りしているのかも。こういう進化(変化)しつつある人の絵って見るのが楽しみ。

2010/11/06(土)(村田真)

北原愛「一人用の建築」

会期:2010/10/23~2010/11/14

ギャラリー四門[東京都]

オルレアンの病院だった場所でレジデンスしたときに制作したドローイングと立体。ペンや鉛筆で線描した室内風景は、窓の外の風景だけ色がついている。病院内はモノクロームってわけ。その病院ではかつて患者がギューギューに押し込まれていたということから、ひとり分の建築というものも構想。輪っかを直角に交差させたかたちで、人が空間に占める大きさを球体で表わしている。という説明がなければ謎めいた作品。説明があっても謎めいてるか。

2010/11/06(土)(村田真)

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