2019年07月15日号
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artscapeレビュー

2015年03月15日号のレビュー/プレビュー

わが愛憎の画家たち──針生一郎と戦後美術

会期:2015/01/31~2015/03/22

宮城県美術館[宮城県]

宮城県美術館「針生一郎と戦後美術」展を鑑賞する。仙台出身の批評家の活動を軸に、展覧会を構成する面白い試みだ。針生のノートや、彼が企画した展覧会の内容なども紹介する。それぞれの絵画のキャプションが、彼の批評から抜粋したものなので、通常の展覧会とは違い、じっくり読み込む楽しみがある。文章こそが、重要な展示になるからだ。全体としては、社会との関わりから切り込む言説なので、具象系の絵画が多い。展示された作品のなかでは、麻生三郎が別格の作家だと思う。

2014/02/12(木)(五十嵐太郎)

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永井裕明展 GRAPHIC JAM ZUKO in KYOTO

会期:2015/01/16~2015/03/31

京都dddギャラリー[京都府]

アートディレクター・永井裕明の仕事。特に目を引いた川村記念美術館でのモーリス・ルイス展(2008年)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のヤン・ファーブル展(2001年)などの展覧会ビジュアルや、機関誌『季刊 草月』などに見られる明朗さ。シンプルなつくりであるのに、目を掴んで離さないこの魅力はなんだろう。写真や文字、罫線など、デザインを組み立てている要素の選び方か、間の取り方か、大きさの大小、ダイナミクスのコントラストか、とにかく、デザインに至る前段階としてのアートディレクションという仕事の魅力が詰まっている。

2015/02/03(火)(松永大地)

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第18回 文化庁メディア芸術祭

会期:2015/02/04~2015/02/15

国立新美術館[東京都]

21世紀の文展、とは謳ってないけど、まあそんな感じ。コンテンツは新しいのに、それを受け入れる枠組みが古い。だからこんなところで受賞したりすると、最先端の作品もダサく見えてしまう。いい例が、アート部門で優秀賞を取った坂本龍一/真鍋大度の《センシング・ストリームズ》だ。むしろここではダサい作品のほうが本領を発揮する。たとえばアート部門のEmilio Vavarella《THE CAPCHA PROJECT》。解説によれば「ウェブサイト上でスパム防止に用いられるキャプチャコードを、中国人画家がキャンバスに模写し」たもの。ようするにウェブ上の記号を模写専門の中国人画家にコピーさせた絵で、制作費と売り上げはVavarellaと中国人で折半する契約まで交わしてるという。ダサおもろいわ。もうひとつ、エンターテインメント部門で優秀賞を受賞した下浜臨太郎/西村斉輝/若岡伸也の《のらもじ発見プロジェクト》。商店の看板などで見かける独特の(つまりダサダサの)文字を「のらもじ」と命名し、その形状を分析してコンピュータでフォントを制作、ウェブサイトからダウンロードして使用できるようにした。「タイポグラフィにおける民藝運動」だという。半分笑えるが、フォントの使用料を文字の持ち主に還元するなど、ちょっと優等生的でもある。ところで、キャプションやカタログを見て疑問に思ったのは、外国人の名前と作品名がすべてアルファベット表記になってること。いっそ日本人名も解説もすべてアルファベットにするならまだしも、部分的にアルファベットが使われると読みにくいことこのうえない。タイトルは無理に和訳することはないけど、東欧など人名の読み方がわからない地域もあるから、ダサくてもカタカナ表記するべきではないか。たとえば、エミリオ・ヴァヴァレッラ《キャプチャ・プロジェクト》みたいに。韓国人は別にハングル表記じゃないし。

2015/02/03(火)(村田真)

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黒瀬正剛展 shiroe

会期:2015/01/28~2015/02/08

Millibar Gallery[大阪府]

絵が動き出しそう、というか、ひょっとして動いてはいないだろうか。小さな文字や記号にも見える粒が無数に集まって形や風景となっている。その粒のひとつひとつは、キャンバスにこびりつくようなマチエールで、それが細菌の集合体のように、極小な生命が自然発生したものみたいに見えてくる。キャンバスの上ににじみ出てきた、といったような。作為的なものをあまり感じないランダムさが不思議で魅力的な作品群。

2015/02/06(金)(松永大地)

くぼみの測量 猪原秀彦・尾柳佳枝・長尾圭3人展

会期:2015/01/26~2015/02/07

2kw gallery[大阪府]

ペインティングの長尾圭、ドローイング等の平面作品の尾柳佳枝、鉄工、木工などアンティーク家具などを制作する猪原秀彦。尾柳によるドローイングが施された布団、長尾の絵画による装飾(窓のようにも)、猪原によるスタンドライトという、ベッドルーム風の一室は、装飾としてではあるが、それぞれの良さを生かした展開になっていた。作品の素直な落としどころというか、シンプルな美しさを感じる瞬間があった。

2015/02/06(金)(松永大地)

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