2019年07月15日号
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artscapeレビュー

2015年03月15日号のレビュー/プレビュー

「大友良英 音楽と美術のあいだ」展

会期:2014/11/22~2015/02/22

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)ギャラリーA[東京都]

ICCの大友良英「音楽と美術のあいだ」展へ。YCAM委嘱作品の即興によるカルテット映像インスタレーションがメインである。リアル映像でなく、あえてシルエットで見せることで、逆にハコの中に人がいるような存在感を生む。他に階段のギター・インスタレーション作品。いずれも音を体験するために、こちらの動きを誘発する。展示の最後は、音楽と美術のあいだに関するテキスト群だった。展示と公演の違いとして、お金を払ってくる観衆の存在を音楽の方が強く意識しているという指摘にうなずく。

2015/02/17(火)(五十嵐太郎)

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スイスデザイン展

会期:2015/01/17~2015/03/29

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

東京オペラシティアートギャラリーの「スイスデザイン」展へ。スウォッチ、鉄道・航空、フライターグ、グラフィック、バリーなど、なじみのものが多いが、改めて同国のデザイン・ブランドの歴史と現在を総覧できる見本市のような展示である。いずれもシンプルで力強い。一度見たら忘れがたい。改めて、スイスはデザインを重視している国なのだと思う。そしてモダニズムの関連では、ル・コルビュジエのスイス関係の仕事と、建築からグラフィックの仕事に展開したマックス・ビルの軌跡に焦点をあてる。

2015/02/17(火)(五十嵐太郎)

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大村雪乃 展「Perfect Midnight」

会期:2015/01/24~2015/02/22

OVER THE BORDER[東京都]

恵比寿のギャラリー「OVER THE BORDER」にて、大村雪乃の「Perfect Midnight」展を見る。黒い背景に丸いシールのドットだけを貼って夜景を描く手法が明快だ。通常は横浜や渋谷など、イルミネーションに彩られた、華やかな大都市を選ぶが、今回は光が少ない盛岡など、地方の場所に挑戦し、いつもより黒い面積が多い。シールを自分で貼る東京タワーの制作キットも販売しており、そのまま美術の教材にできそう。

2015/02/17(火)(五十嵐太郎)

須田一政「釜ヶ崎」

会期:2015/02/06~2015/02/28

ZEN FOTO GALLERY[東京都]

須田一政は、2014年8月に大阪・釜ヶ崎(西成地区)を撮りおろした。今回のZEN FOTO GALLERYの展示では、その6×7及び35ミリ判による新作に加えて、2000年に撮影したというハーフサイズ・カメラによる縦位置の画面を2コマ分プリントした作品(全16点)が並んでいた。
須田と釜ヶ崎というのは、ありそうでなかなかない絶妙な組み合わせなのではないかと思う。この日雇い労働者の街は、写真家たちを引きつける魅力的な被写体の宝庫であり、1950~60年代の井上青龍以来、数々の「名作」を生んできた。『日本カメラ』(2015年2月号)の「口絵ノート」に「私のような社会派にはほど遠い写真家が今更撮るのはどうかなと考えつつ」と書いてあるのを見てもわかるように、須田はむろんそれらを充分承知の上で、いつもより肩の力を抜いて、飄々と街と人のたたずまいにカメラを向けている。その結果として、この街を覆っているざらついた荒々しい触感が、やや軽みと丸みを帯び、エロス的としかいいようのない艶かしい雰囲気が漂ってきているように見えるのが興味深い。須田の眼差しの先で、乾ききった真夏の釜ヶ崎の光景が、しっとりとした、みずみずしい情感をたたえてよみがえってきているのだ。どうやら街との相性は抜群のようなので、また機会があれば、ぜひ撮り続けていってほしいものだ。
なお、オープニングには間に合わなかったのだが、会期に合わせて2冊組の写真集『走馬灯のように ─ 釜ヶ崎2000-2014』(ZEN FOTO GALLERY)が刊行された。

2015/02/17(火)(飯沢耕太郎)

水谷吉法「COLORS/ TOKYO PARROTS」

会期:2015/02/03~2015/03/10

IMA gallery[東京都]

IMA galleryで開催された「LUMIX MEETS JAPANESE PHOTOGRAPHERS#2」展(2015年1月21日~29日)にも出品していた水谷吉法が、同会場で初個展を開催した。本欄でも何度か書いているように、水谷のように街をデジタルカメラで切りとって、パソコンの画面を思わせる鮮やかな色面のパターンとして再構築する若い写真家たちの仕事が、この所だいぶ目につくようになってきている。単なる流行というだけではなく、そこには、最初からデジタルカメラを使って撮影しはじめたこの世代(水谷は1987年生まれ)のリアリティが色濃くあらわれているということだろう。
だがこのままだと、都市空間と写真のあり方とをオートマチックに、何の抵抗感もなしに結びつけ、画像化してまき散らすだけに終わりそうな気がする。記憶、感情、身体性、他者性、地域性──どんなファクターでもいいので、写真化のプロセスに何らかのノイズを挟み込んで、のっぺりとした眺めに風穴をあける必要がありそうだ。それとともに、特に「COLORS」のシリーズにいえることだが、複数の写真を組み合わせて提示する時に、思いつきだけに頼るだけではなく、ロジカルな思考力を発揮してより強固な「構造化」をめざしてほしいものだ。
その意味では、今回展示されたもう一つの作品「TOKYO PARROTS」の方に面白さを感じた。輸入された鮮やかな黄緑色のインコが、東京都内で野生化して大量発生している状況を捉えたシリーズだが、均質化しつつある都市環境における異物に着目する視点が明確にあらわれている。この方向をさらに突き詰めていけば、彼らの世代から、頭一つ抜け出していくことができるのではないだろうか。

2015/02/17(火)(飯沢耕太郎)

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