artscapeレビュー
2010年01月15日号のレビュー/プレビュー
感じる箱 展 grafの考えるグラフィックデザインの実験と検証
会期:2010/01/19~2010/03/13
dddギャラリー[大阪府]
大阪を拠点にさまざまな分野のデザインを手掛けているgrafによる展覧会。テーマは「感じる箱」。箱という立体性と空間性をともなうモチーフを駆使して、グラフィック表現の新たな可能性を問いかけるのだ。彼らは自身のスペースが大阪・中之島にあるため、地元の他所のスペースで発表を行なう機会は珍しい。それだけに、ここの作品だけでなく空間全体でどのようなプレゼンを行なうのかが気になる。
2009/12/31(木)(小吹隆文)
上田順平・山本太郎・龍門藍「俗なる美意識」
会期:2010/01/20~2010/02/20
イムラアートギャラリー[京都府]
卑俗で過剰な装飾をまとったキッチュな陶オブジェで知られる上田順平、現代と伝統がハイブリッドした日本画を制作する山本太郎、少女人形などをモチーフにした油彩画の龍門藍が出品。いずれも日常生活に根差した視線で現代の雑食的な日本文化を浮き彫りにする作家たちだ。3人のなかでは龍門の作風がやや浮いているように思われるが、それをどのようにまとめ上げるのか、ギャラリーのディレクションにも注目したい。
2009/12/31(木)(小吹隆文)
プレビュー:泉太郎「クジラのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」/平田オリザ(青年団)『カガクするココロ』『北限の猿』ほか
「日常/場違い」(2009年12月16日~2010年1月23日、神奈川県民ホールギャラリー)で素晴らしい展示を見せている泉太郎。同時に、アサヒ・アートスクエアのスペースを存分に利用した「クジラのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」(2010年1月16日~1月31日)という展示も行なわれます。これが一押し。あ、でもこれはインスタレーション(?)であり、ダンスでも演劇でもないです。そっちのお勧めなら、平田オリザ(青年団)の二本立て『カガクするココロ』と『北限の猿』(2009年12月26日~2010年1月26日、こまばアゴラ劇場)。お見逃しなく。来月の注目公演の筆頭が、チェルフィッチュ『わたしたちは無傷な別人であるのか?』(2月14日~2月26日、STスポット/3月1日(月)~3月10日、横浜美術館)であるのは間違いないとして、同じ横浜で2月には『We dance』(2月13日~14日、横浜市開港記念会館)というイベントが開かれます。捩子ぴじん、岸井大輔、手塚夏子、伊藤千枝、白井剛などの公演、ワークショップは要期待です。
2010/01/15(金)(木村覚)
カタログ&ブックス│2010年1月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
杉本博司 今児島──アート・建築・拾集
2009年4月25日から5月17日まで大原美術館で行なわれた「杉本博司 今児島──アート・建築・収集」展のカタログ。この展覧会では杉本博司の写真は勿論、自身の制作の思想の基となる拾い集めた物の展示を行なっている。カタログではそれらを杉本氏自身の撮影とキャプションで構成されていて、作品の内面性を感じることが出来る。
世界の、アーティスト・イン・レジデンスから
世界中から集まったクリエイターたちが制作や発表を行なう活動、アーティスト・イン・レジデンス。通称「AIR」。この本ではカタログのように、アーティストやAIRの活動紹介を行なっている。巻末には厳選された520件のAIRの連絡先が掲載されている。
THE JOY OF PORTRAITS/Keizo Kitajima
2009年5月22日から7月5日までラットホールギャラリーにて開催された、北島敬三個展「PORTRAITS」を記念し発売された写真集。第1巻には1992年にはじめられ現在もつづくポートレートシリーズ「Portraits」が、第2巻には、「Tokyo 1979」「NewYork 1981-1982」「U.S.S.R. 1991」などが収められている。全2巻ケース入り、限定1,500部。
Any:建築と哲学をめぐるセッション 1991-2008
20世紀最後の10年に開催された建築と哲学をめぐる国際会議Any Conference──日本語版議事録のみに収録された全討議を集成。磯崎新、浅田彰、柄谷行人による2008年の討議を新たに収録、建築─批評─哲学が直面する現在的課題に迫る[本書帯より]。
ビルディングの終わり、アーキテクチュアの始まり 10 years after Any
本書に収録された磯崎新、浅田彰によるテキストは、1991年から2000年まで世界の諸都市で開催された、建築と哲学を討議する《Any Confernce》のために共同で執筆されたものである。巻頭に、現在の建築状況を解読する磯崎新の書き下ろし論考を収録[本書帯より]。
2010/01/15(金)(artscape編集部)