2019年09月15日号
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artscapeレビュー

川島小鳥『明星』

2015年02月15日号

発行所:ナナロク社

発行日:2014年12月24日

『未来ちゃん』(ナナロク社、2011)で大ヒットを飛ばした川島小鳥の3年ぶりの本格的な写真集は、まずそのデザインワークの新鮮さで目を引きつける(デザインは佐々木暁)。川島本人のアイディアだったようだが、ページを開くと横長のパートと縦長のパートが交互にあらわれる造りになっているのだ。縦位置の写真と横位置の写真をどう組み合わせてレイアウトするかというのは、実は常に写真家やデザイナーの頭を悩ませるとてもむずかしい問題だ。つまり縦が長い用紙の本だと横位置の写真が小さくなり、横が長いと今度は縦位置の写真が小さくなってしまうのだ。その難問を、今回は端を斜めに切った厚紙の表紙に縦長、横長のレイアウトのページを挟み込むことで見事に解決した。おそらく世界初の試みではないだろうか。
この縦横自在のレイアウトは実に効果的で、ページを開くたびに、それぞれ違う眺めを楽しむことができる。しかも、単にトリッキーな視覚的効果だけではなく、それが写真集の内容にもぴったり合っている。台湾で撮影されたという、みずみずしい生命力を発散する少年や少女たち、奇蹟のように降り注ぐ光、雨、カラフルな極彩色に彩られた世界の輝きが、ページを開くたびに、弾むように目に飛び込んでくるのだ。『未来ちゃん』の力強い、ストレートな眼差しをそのまま受け継ぎつつ、より幅広い被写体を、柔らかに捕獲していく能力を、1980年生まれの川島はしっかりと身につけつつある。さらにエネルギーを全開にして走り続けていってほしいものだ。

2015/01/07(水)(飯沢耕太郎)

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