artscapeレビュー
新印象派──光と色のドラマ
2015年02月15日号
会期:2015/01/24~2015/03/29
東京都美術館[東京都]
新印象派を、色彩理論に基づく点描技法の創始者スーラと、その技法を受け継いだシニャック、リュス、クロス、その他ベルギーの画家たちに限定してしまうとかなり地味な展覧会になる。なので、点描技法を試みたピサロ(1830年生)からドラン(1880年生)まで、いいかえれば印象派からフォーヴィスムまで約半世紀をカバーすれば、モネやマティスらビッグネームも入ってくるってわけだ(なぜかゴッホは外れてるが)。でも、狭義の新印象派だけでもいろいろ発見はある。もともと点描は絵具を画素のようにキャンバス上に置いていく技法だから、描く喜びに欠けるし、手仕事では限界があった。そんな欠点を彼らはいかにして克服していったか、できなかったか。たとえば筆触を大きくしたり、ぼかしたり、装飾性を強めたり、さまざまに試行錯誤した形跡が読み取れるのだ。そのあげく、最後のセクションでは色彩も形態もグズグズになり、やがてフォーヴィスムに回収されていく。新印象派がフォーヴィスムを方向づけたともいえるが、フォーヴィスムが新印象派を解放したともいえるのだ。そのへんの美術史のせめぎ合いがおもしろい。
2015/01/23(金)(村田真)