2019年11月01日号
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artscapeレビュー

タカザワケンジ「CARDBOARD CITY」

2015年02月15日号

会期:2015/01/06~2015/01/17

The White[東京都]

タカザワケンジは2014年の晩夏に、とある街を訪れた。そこは「決められた場所を歩くことしか」できないので、いきおい撮影した写真は「バスの窓越しに見たもの」がほとんどになってしまった。それらを見直しているうちに、ある「発見」があったのだという。そのことを元にして「写真展として構成」したのが、今回の東京・神保町のギャラリーThe Whiteでの展示である。
タカザワが撮影したのは、街の様子から見て明らかに北朝鮮(おそらく平壌)である。北朝鮮を撮影した写真のほとんどは、かの国の特異な政治体制や社会状況にスポットを当てているのだが、ここではまったく異なるアプローチがとられている。タカザワが注目したのは「窓越し」に撮られた写真に特有の「書き割り効果 cardboard effect」である。「書き割り効果」というのは、「写真になったときに立体感が失われた状態」のことで、たしかに会場に展示された写真群には、それがくっきりとあらわれていた。つまり、画面の手前から奥まで全部ピントを合わせたパンフォーカスと、窓枠があることによる切り取りの効果によって、画面全体が平板な、舞台の「書き割り」のように見えてくるのだ。さらにいえば、そのことは北朝鮮の街並自体が、どこか人工的で薄っぺらな「書き割りの街」であることも浮かび上がらせているといえるだろう。
タカザワは普段は写真関係の記事を執筆するライターとして活動している。写真を撮るだけではなく、それについて分析し、思考する態度が身についているということで、今回の展示にもその彼の独特のポジションがよくあらわれていた。さらなる探求と実践を期待したいものだ。

2015/01/08(木)(飯沢耕太郎)

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