artscapeレビュー
黄金町通路:再訪
2015年02月15日号
会期:2015/01/10~2015/01/25
高架下スタジオ・サイトAギャラリー[神奈川県]
黄金町にはかつての売春宿を改装したアーティスト・イン・レジデンスがひしめく。そこで滞在・制作したアーティストたちの作品を通して、レジデンスプログラムの意義を問い直そうという趣旨。アーティストから見れば黄金町は通過点のひとつだから、タイトルは「黄金町通路」に。出品は加藤翼、和田昌宏、韓国のユ・ソラ、インドネシアのヤヤ・スンら7人で、それぞれ新作や滞在中のドキュメントなどを出している。なかでも目を引くのが吉野ももの襖絵。4枚の襖に透視図法で襖がずっと奥まで続いているように描いている。これをたんなるイリュージョン・アートとして片づけるのはもったいない。襖は日本では(日本にしかないか)絵の支持体のひとつであり、その襖に襖を描くという自己言及的な作品であり、もっといえば襖という字に隠れてる「奥」を視覚的に感じさせる作品でもある。その吉野が描いた黄金町の壁画は昨年のバザールの前に消され、ベトナムから来たライヤー・ベンが新たにグラフィティ風の壁画を制作。その制作過程をコマ撮りした映像もおもしろい。
2015/01/22(木)(村田真)