artscapeレビュー
菅木志雄──置かれた潜在性
2015年02月15日号
会期:2015/01/24~2015/03/22
東京都現代美術館[東京都]
これはスゴイ。なにがスゴイかって、40年以上まったく仕事にブレがないこと。この40年間の美術の動きを乱暴に振り返ってみれば、70年代は画廊を回ると、菅さんをはじめ石や木を並べたような「もの派」系の作品が美術界を占めていたが、80年代に入ると絵画が復活し、菅さんは徐々に隅のほうに押しやられていった。でもほかのもの派の連中が絵画や彫刻や版画に転じても、菅さんだけは動じることなくもの派ど真ん中の作品を発表し続けた。その間、本人は自分の作品が時代遅れだとか不安にかられたことはないのだろうか。と、ふと思ったりもする。出品は新旧交え、大型インスタレーションが約10点。旧作はオリジナルが現存しないので再制作したものだが、美術館の空間に合わせて新たに制作したのでサイズもプロポーションも異なり、その意味では旧作とも新作ともいいがたい。そもそも菅さんの場合、何度も繰り返すけど40年以上ブレがないので、旧作も新作も再制作もほとんど変わりないんじゃないかという気がしてくる。それもスゴイ。
2015/01/23(金)(村田真)