2019年11月01日号
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artscapeレビュー

中藤毅彦『STREET RAMBLER』

2015年02月15日号

発行所:ギャラリー・ニエプス(発売:ソリレス書店)

発行日:2015年1月1日

中藤毅彦は1970年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部中退後、1994年に東京ビジュアルアーツ写真学科を卒業し、ストリート・スナップを中心に精力的に作品を発表してきた。今回刊行された200ページ近いハードカバー写真集『STREET RAMBLER』には、2002年からここ10年ほどの期間に撮影された、ニューヨーク、ハバナ、モスクワ(サンクト・ペテルスブルクを含む)、上海、ベルリン、パリ、東京の7都市の写真がおさめられている。
よく指摘されるように、中藤のストリート・スナップの感触は、東京ビジュアルアーツで師事した森山大道の写真を思わせる。むしろ開き直って、森山の撮影やプリントの手法を、そのまま取り込んでいるといえるだろう。だが、写真集のページを繰っていくと、そこに自ずと違いがあらわれてくるようにも感じる。じっとりと湿り気が滲み出てくるような森山の写真と比較すると、たとえ東京を撮影していたとしても、中藤の写真はドライで切り口が鋭利であるように見える。そこに写っている人物たちも、森山のように不気味で翳りを帯びているわけではなく、よりポジティブな印象を与える。見方によっては、森山よりも白黒のコントラストを強調したグラフィック的な処理の仕方が徹底しているようでもある。
とはいえ、中藤もそろそろ次のステップに踏み出す時期に来ているのではないかと思う。7つの都市の写真が、ほとんど同じに見えてしまうのが気になる。より細やかに、被写体となる場所の地域性に即して、アプローチの仕方を変えていってもいいのではないだろうか。なお、写真集の刊行に合わせて2015年1月10日~18日に、ギャラリーLE DÉCOの6Fで同名の展覧会が開催された。

2015/01/08(木)(飯沢耕太郎)

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