artscapeレビュー
小林亮介 展「森へ」
2015年02月15日号
会期:2014/12/20~2015/01/25
名古屋造形大学黄金町サテライトスタジオ[神奈川県]
森を撮った幻想的な風景写真。のように見えるが、よく見るとどこか不自然。写真の下には「霧の背後に樹影が見えた。森の向こうにはまた森が続いているらしい」とか「幼い頃、限りなく続く山並みを画面の隅々まで描いた」とか「夢から覚めてまた夢の森を歩く。音は無い」といった詩のようなタイトルが記されている。これらの詩を読み上げた音声波形を森のかたちに合成したのが、この風景写真のように見えるデジタルプリントなんだそうだ。小林は30年以上も前に、たしか緑色の森のようなインスタレーションを神田の画廊で発表していた。いい作家だなと目をつけていたから覚えていたのだが、その後ドイツに留学し、以来30年ほど消息を聞かなかった。それが昨年、黄金町のY氏邸で遭遇。なんと名古屋造形大学の学長になっていた。作品は大きく変わったけど、森のテーマは一貫している。
2015/01/22(木)(村田真)