artscapeレビュー
青田真也
2011年01月15日号
会期:2010/11/27~2010/12/27
青山|目黒[東京都]
おたふくの面、熊や鷲などの木彫りの置物、将棋盤と駒などの表面を削って滑らかにし、色や表示を消したオブジェ。サッカーボールや樹脂製ボトルは元のかたちが残っているのでわかりやすいが、単なる黒い円盤がレコードだとわかるまでは少し時間がかかり、壁に貼られた白い紙がなんであったのかはいまだにわからない。そして、その隣にあった合板が、表面を削った板かと思ったら、壁そのものを削ったものだとわかったときの感激。その奥にはギャラリーの照明のスイッチを削った作品まであった。こうなるともう作品探しは止まらない。スタッフの服や顔まで削られてないか見てしまうのだ。ともあれ、ものの表面を問題にするのは絵画や彫刻の原点だし、もの派にも通じるし、でもどこかポップだしコンセプチュアルだし、実に幅広い問題を提起してくれる作品。
2010/12/16(木)(村田真)