artscapeレビュー

曽根裕「雪」

2011年01月15日号

会期:2010/12/10~2011/02/28

メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]

雪の結晶を彫刻した透明な作品が10数点。大きさは縦横高さともに20~30センチほどあるが、これが水晶だというから驚く。雪も結晶だからクリスタルでないといけないのかも。でもこの彫刻の見どころは六角形の結晶のデザインではなく、その下の饅頭みたいにどっしりとした半球状の部分にある。これが透明なので陸に打ち上げられたクラゲを思わせ、その上につながる鋭角的な結晶と好対照をなす。見ているうちに、今度はこの結晶がクラゲの足のように見えてくる。無機質な雪の結晶がいつのまにかひっくり返ったクラゲ(逆さクラゲ)に化けるのだ。もうひとつの展示室にはスキーリフトを彫った彫刻と、スキー場のある山を描いた絵画が展示されている。彫刻はおよそ1メートル立方の大理石からリフトやそれに乗るスキー客、樹木などを彫り起こしたもの。さすがにロープまでは彫れなかったのか細部は大ざっぱだが、中国の翡翠彫刻を思わせるダイナミックさがある。絵のほうはグランマ・モーゼスを彷彿とさせる素朴さ。

2010/12/17(金)(村田真)

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