artscapeレビュー
小勝負恵 展 [Blind house]
2011年01月15日号
会期:2010/12/07~2010/12/26
Yoshimi Arts[大阪府]
古から絵画は窓の比喩として認識されてきたが、こんな絵画を見たのは初めてだ。小勝負の作品は、ご覧のとおり窓の形をしている。しかもその窓は開閉可能で、キャンバスと窓の両方にイメージが描かれているため、閉じた時と開いた時で絵の意味合いがガラリと変わる。例えば、窓を閉じている時は父と娘の食事風景だったのが、窓を開けると娘一人の寂しい食卓になるという具合だ。また、リストカットなど青少年の悩みを主題にした作品があるのは、教職に就く彼女の実体験に由来する。まだ展覧会経験はわずかだが、誰もが共感できる“物語性”という武器を持つだけに、今後、脚光を浴びる可能性が高いと見た。
2010/12/09(木)(小吹隆文)