artscapeレビュー
「Neo New Wave Part 2」展
2011年01月15日号
会期:2010/12/03~2010/12/26
island ATRIUM[千葉県]
2010年9月にPart 1が行なわれた同名展覧会のPart 2。Part 1の作家たちの多くが「自分の感覚」を創作の端緒にしているように見えたのに対して、Part 2の6名の作家たちがともに「他者をどう自分の活動に巻き込むか」というテーマに取り組んでいたのは印象的だった。なかでも、小学生が公園で基地をつくるみたいに、加藤翼は仲間たちと一階のギャラリースペースを占拠、ベニヤ製の箱、二つのこたつ、すべり台などで一杯にした。ひとが通れるくらいの大きさの箱には、こぶしで突き破ったような穴が空いていて、入ると、空洞に点在する複数のモニターに映るのは、やんちゃな若者たちが実行した遊びの過程。映像と諸々のオブジェとの関係は、泉太郎のそれに似ている。集まった人びとが「ゲーム」に興じる点も共通している。ただし、女性も多く混じっているプレイヤーが黙々とゲームを遂行する泉作品に対して、加藤の場合は、同性の仲間を巻き込んだことで、わいわいと楽しい雰囲気が詰まっている分、良くも悪くも「内輪」感が目立つ。閉じることで高まるボルテージは疎外感を観客に与えもする。加藤とは対照的に、久恒亜由美は、35才の男が自分を口説く音声や占い師が自分を占う音声を作品にし、他人を作品に巻き込む。予期せぬ仕方で作品という場に他人を引き込む仕掛けは巧み。また他人の評価を通してしか自分が確認できないリアルな若者像として理解もできる。けれど、他人を作品に巻き込む残酷さに心がひりひりする。知り合いの高校生に亡き父への思いを語らせる原田賢幸の作品も同様の「ひりひり」を感じた。社会に介入する際の作家の手つき、その妙(デリカシー)が気になった。
2010/12/23(木)(木村覚)