artscapeレビュー

オイルショック!──90年代生まれのオイルペインター

2011年01月15日号

会期:2010/12/23~2010/12/28

Hidari Zingaro[東京都]

最近、秋葉原や中野にしばしば通っているのだが、中野ブロードウェイ3階に店を出す村上隆プロデュースのHidari Zingaroでけっこう衝撃的な展示を見た。これは、0000(オーフォーと読む)という京都を基盤にする4人のイケメン風アートオーガナイザーたちが企画したもので、4週連続の展覧会「0000 Fest」のひとつ。この週は10代の女性画家5人の油絵が紹介されていたのだが、驚くのは彼女たちの絵のうまさではなく、まったく逆に、油絵のスキルがないのに(または無視して)臆面もなく少女マンガチックに描いていること。ぼくらの基準では、こんなイラスト風の絵は恥ずかしくて人前には出せないし、そもそも油絵では描かないものだ。それをなんのてらいもなく出し、あろうことか半数近くが売れているのだ。ただヘタな絵を並べるだけならだれでもできるかもしれないが、それが売れるとなると話は別。売れるということは作品が公認されたということにほかならない。逆にいえば、これまでぼくらが公認していたような作品の価値基準が少数派になりつつあるということだ。そんなことはポストモダンが叫ばれた80年代から徐々に感じていたはずだが、ここまで自分とは異なる価値観を見せつけられるとうろたえてしまう。企画者の意図どおり、まさに「オイルショック」。

2010/12/26(日)(村田真)

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