artscapeレビュー

辰野登恵子 新作展

2011年01月15日号

会期:2010/11/03~2010/12/26

BLDギャラリー[東京都]

もう30年以上も表舞台に立ちながら、作品が色あせたり消費され尽くしたりしない希有な画家。画面に認められるのは、箱を積み上げたようなパターンだったり、棚が交互に並んでいるような奥行きの感じられる空間だったり、血液を顕微鏡でのぞいたような有機的形態だったりと、一見陳腐な具象的イメージだが、結局それは箱にも棚にも血液にも行きつかず、画面の構成要素のひとつとして絵画に奉仕するばかりだ。それは絵画以上のなにものでもないが、絵画そのものであることをまっとうした絵画である、と同語反復に陥ってしまう絵画である。

2010/12/17(金)(村田真)

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