artscapeレビュー

物気色─物からモノへ─

2011年01月15日号

会期:2010/11/21~2010/11/28

京都家庭女学院・虚白院[京都府]

東洋と西洋、美術と工芸、芸術と経済と科学など、既成の枠組みを乗り越えた新たなアート、文化の枠組みを模索するべく、2010年1月に京都大学総合博物館で開催された「物からモノへ」展。その第2弾として開催されたのが本展だ。タイトルの「物気色(モノケイロ)」の「物」には、物質の「物」、人格の「者」、モノノケやもののあはれの「モノ」など複数の意味が込められている。会場の虚白院は、朝鮮通信使とゆかりがあり、大正期には日本南画院の本部、戦後は女子教育の拠点となった場所だ。敷地内には母屋のほか、能舞台、南画院時代の展示室、茶室、竹林の庭などがあり、黒田アキ、岡田修二、近藤高弘、大舩真言ら16組の作家がサイトスペシフィックな展示を行なった。壮大な企画意図については未だに理解できていないが、画廊や美術館はもちろん、京都で時折行なわれる寺社での展示とも違う、個性的かつジャンルレスな展示が行なわれたのは間違いない。それにしても、会場の建築・作庭のユニークなこと。地元の人にさえ知られていない上質な空間が、京都にはまだまだ埋もれていることを実感した。

展覧会URL=http://www.monokeiro.jp/

2010/11/20(土)(小吹隆文)

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