2019年11月01日号
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artscapeレビュー

塩田正幸 “SFACE” “DNA(Dirty Npeaker All)”

2011年01月15日号

会期:2010/12/11~2011/01/30

G/P GALLERY[東京都]

塩田正幸の名前は以前からよく目にしていたのだが、最近になってその仕事の面白さがようやく見えてきた。最初に注目したのは2008年の写真集『ANIMAL SPORTS PUZZLE』(TOKYO CULTUART)で、子どものいたずらのように組み合わされたカラフルなオブジェの集合体を撮影したものだ。そのでたらめとも思える発想の方向性や瞬発力が日本の同世代の写真家たちとは違っているように感じた。聞くところでは、ノイズ系のミュージシャンとしても活動しているということで、そのあたりの刺激に全身でさっと反応していく感覚が、写真にも独特のリズムを生んでいるのだろう。
3年ぶりという今回の個展でも、あまり一つの方向に収束していくことなく、ノイズを撒き散らしていくような彼のスタイルがよくあらわれていた。巨大なモノクローム・コピーのポートレート、ライトペンで一筆書きしたようなグラフィティ的な作品、カラープリントを屋外に放置して埃を積もらせたシリーズなど、やりたいことをやり放題で形にしていっている。その全方位的なアンテナの感度を、どこまで保ち続けることができるかはわからないが、今のところはこの調子で突っ走っていっても大丈夫ではないだろうか。自主レーベルの写真集作りにもセンスのよさがうかがえる。こちらも、どんどん出していくといいのではないかと思う。

2010/12/11(土)(飯沢耕太郎)

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