artscapeレビュー

大﨑のぶゆき展─dimention wall─

2011年01月15日号

会期:2010/11/29~2010/12/18

ギャラリーほそかわ[大阪府]

近年の大﨑の作品といえば、水溶性の紙に描いた絵を水面に浸し、イメージが崩壊する瞬間をスローモーションで撮影した映像作品が思い浮かぶ。しかし本展では、今までとは異なるタイプの映像作品が展示された。その作品とは、壁一面に投影された壁紙の模様からインクが滲み出て、模様が徐々に塗り潰されていくというものだ。本人が在廊していたので説明を受けたところ、「ゲシュタルト崩壊」という単語がしばしば発せられた。これは、例えば漢字を凝視し続けた時に陥る、意味と形態が分離したような感覚を指す単語だ。つまり大﨑の新作は、人間の空間認識を撹乱する効果を狙ったものと言えるだろう。私自身は本作でそこまでの感覚は得られなかったが、視界全体を覆うような映像ならゲシュタルト崩壊が味わえるのかもしれない。新シリーズは始まったばかりなので、今後のブラッシュアップに期待したい。

2010/11/29(月)(小吹隆文)

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