artscapeレビュー

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス展

2011年01月15日号

会期:2010/9/018~2010/12/25

金沢21世紀美術館[石川県]

タイヤ、履き古した靴、バケツといったガラクタのドミノ倒しのヴィデオ作品《事の次第》、着ぐるみのネズミとクマが登場する一連の映像作品のほか、写真作品「ソーセージ・シリーズ」、粘土作品や彫刻作品など、フィッシュリ&ヴァイスの初期から最近までの代表的な活動が展示室だけでなく、通路や光庭なども使って紹介された。展示のボリュームとしての見応えもあるが、なかでも面白かったのが約90点の粘土のオブジェが並んだ展示室。まるで子どもがつくったようなユルい粘土造形の数々の、間の抜けたイメージやユーモラスな表情は、タイトルによっていっそう物語世界を広げていく。世界の混沌をあぶり出し、見る者を連想へと一気に導く言葉の威力もさることながら、なんでこんなにばかばかしくも鋭い言葉を思いつけるのだろうと思う痛快なウィットの数々に脱帽だった。

2010/12/015(日)(酒井千穂)

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