artscapeレビュー
中村協子 展「アナログなダビング」
2011年01月15日号
会期:2010/12/03~2010/12/26
eN arts[京都府]
中村協子の過去作から最新作までのドローイングが展示された個展。こんなにまとまった量の中村の作品を見たのは初めてかもしれない。ペンや色鉛筆を使った細密な表現でどちらかというと小さなサイズの作品を発表してきたイメージがあるが、今展では、会場の入口すぐの壁面いっぱいに大きな画面を数枚つなげた大作も展示されていた。ただそれでもあり余るほどの広い空間。そのためにどちらかというと量感は感じられずすっきりとまとまっていた印象だ。他愛もない“ガールズトーク”を繰り広げるバービー人形たちの連作、 かるたのような短い言葉と絵を組み合わせた大量のドローイングなど、イメージと記憶に働きかける独特のユーモアはこれまでどおり、だが、今回は言葉と絵の関係の面白さよりも色彩やこまやかな描写のほうが印象に残った。
2010/12/25(土)(酒井千穂)