artscapeレビュー
フジタマ×山西愛 展「みんなひっかかる」
2011年01月15日号
会期:2010/12/10~2010/12/26
アトリエとも[京都府]
知的障害や精神的障害をもつ若者の自立支援施設である「アトリエとも」のギャラリーで、人々がつながるためのきっかけづくりをテーマに開催してきた「スコップ・プロジェクト」第5回目の展覧会。これまでの開催のなかでも今展は娯楽的な要素が大きく、多くの人が関わりやすく親しみやすい雰囲気に仕上がった。展示はすごろくをモチーフにしてフジタマ、山西愛の二人がそれぞれに制作した作品がメインだったが、フジタマは他にも、本物のイカやシジミ、スポンジの人形、神社をモチーフにした作品もインスタレーション。〈タタリちゃん〉など、へんてこなキャラクターの数々と極彩色で彩られた会場がいっそう怪しげで楽しい(?)雰囲気をつくっていた。年末にはふたりの作家によるワークショップ「すごろくチャンピオンシップ」も開催されたが、なかには、以前の展覧会を見てこの企画を知り、はるばる三重県から足を運んだという参加者もいた。黒板の壁面でコマを動かす山西愛のマグネットのすごろくは特に、歓声が起こったり興奮の声があがって良い雰囲気の盛り上がりを見せた。さまざまな課題や問題も見えてきたが、このプロジェクトの成果が目に見える機会となった愉快な展覧会だった。
2010/12/10(金)(酒井千穂)