2019年07月01日号
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artscapeレビュー

2014年08月15日号のレビュー/プレビュー

パランプセスト──重ね書きされた記憶 vol.2 岩熊力也

会期:2014/06/26~2014/07/26

ギャラリーαM[東京都]

天井から汚い布がテグスと洗濯バサミで100枚近く吊り下げられている。布にはところどころ顔らしきイメージが残っているけど、ほとんど消えかかっている。死者の肖像を描いては洗い流し、描いては洗い流しを繰り返したらしい。こういうのを見ると絵画の原点を考えてしまうなあ。奥にはやはり顔を描いた丈の異なる服がハンガーに吊り下がってる。服に描いた絵というのはタブローと刺青の中間だ。

2014/07/04(金)(村田真)

平川恒太「儚き絵画の夢(前期)」

会期:2014/06/21~2014/07/06

バンビナートギャラリー[東京都]

魚貝や珊瑚、海草などを描いたカラフルな海中絵画。よく見ると、その上に流木やプラスチック片などを組み合わせたゼロ戦や兵士の姿がコラージュされている。沖縄の美ら海に激戦の記憶を重ねたものだそうだ。一瞬、ラッセンかと思った。いやホント、きれいだし、よくできてる。これがラッセンみたいに売れて儲かったら複雑だろうな。

2014/07/04(金)(村田真)

佐々木浩一 個展「相舞う絵画」

会期:2014/06/14~2014/07/13

3331ギャラリー[東京都]

キャンバスに縦方向に線を描いたモノクローム絵画。線はボケ、幅も一定ではない。ちょうどゴムひもをボヨヨーンと弾いたときの振動体のイメージ。こうやって何点も並べればそれなりに見ごたえあるけど、1点だけだったら、きっと寂しいぞ。

2014/07/04(金)(村田真)

《新潟市秋葉区文化会館》、《新潟市江南区文化会館》

[新潟県]

新津にて、新居千秋による《新潟市秋葉区文化会館》を見学する。スタジアムの跡地につくられたホールであり、その記憶を残すかのように、丸い輪郭をもつ。ぐるぐる屋上のスロープを歩いて登る体験も楽しい。大きな外皮の内部に、コンクリートの壁と天井のホールが入る。ホワイエで天井を見上げると、踊るようにねじれた壁柱がダイナミックだ。未来的な造形からコスプレの人たちが集まる場にもなっているという。隣接する学校の体育館は工事中だが、これも新居のプロジェクトである。続いて、同じく新居による《新潟市江南区文化会館》に向かう。街並みのような十字のストリートを軸に、ホール、公民館、郷土資料館、公民館を複合するプログラムだ。由利本荘のケースと同様、点在していた諸施設をコンパクトにまとめる役割も担う。が、その造形と空間は必ずしもシンプルではなく、冗長性と多様性をもつ。力強い造形と各部の透明感ある相互浸透が、デザインの特徴である。





上記3点《新潟市秋葉区文化会館》




上記2点《新潟市江南区文化会館》

2014/07/04(金)(五十嵐太郎)

トーキョー・ストーリー2014

会期:2014/06/14~2014/07/21

トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]

世界各地に滞在・制作した成果を、本郷と渋谷の2カ所で発表している。まず7組が出品している本郷から。台湾に行った友政麻理子は、向こうの食事文化や父娘関係をリサーチし、文化の違いをクローズアップ。マドリッドに滞在した中島佑太は、安倍首相の「ディス・シチュエーション・イズ・アンダーコントロール」というウソに触発されて、子どもたちとノボリをつくるワーショップ「うそをつく」を開催。また韓国に行った二藤建人は、雑巾でつくったスーツを着て街をきれいにした(自分は汚くなった)。これらは作品づくりよりコミュニケーションそのものを目的としたアートといえる。同じく二藤は山に登り、山頂に埋まって片手だけ出し、巨大な鋳型を採取。オル太はベルリンから始まり、アウシュビッツ、チェルノブイリなど近代化の過程で歪みが暴発した場所を選んで訪れ、インスタレーションにした。これらはその場所に行ってみなければ始まらない(でも行っただけでは始まらない)アートといえる。それにしてもホイホイ行けるようになったんだなあ。

2014/07/05(土)(村田真)

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