artscapeレビュー

2014年08月15日号のレビュー/プレビュー

ALL NIGHT HAPS「MIDNIGHT SUMMER THEATER fujitama」

会期:2014/07/12~2014/07/25

HAPS[京都府]

祇園の南にある、HAPS(東山 アーティスツ・プレイスメント・サーヴィス)の夜だけの映像を中心とした展示シリーズ。この時流れていたのは、フジタマ(fujitama)の映像作品。哀愁漂うカラオケムーヴィー風の字幕が乗ることで映像の見え方が変化してしまうもの。工事中のデジタル旗ふりおじさんも、いわずもがな哀愁おじさんに。カラオケっていつまでもあの見た目から変わらない、そしてこれからもこのままなんだろうな。
加えて、特筆すべきはウインドウのみのギャラリースペースなんだけど、けっこう居心地がいいということ。夜にやっているというのもプラス要素であるけれど、この斜めに傾いたセルフ改修された家屋、不思議な停留所感がある。こんな場所の前にバス停があったらいいのに。いや、逆か。バス停をこんなふうにアレンジしたものがあってもいいのに。

2014/07/19(日)(松永大地)

ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉

会期:2014/05/27~2014/09/15

国立国際美術館[大阪府]

国立国際美術館の「ノスタルジー&ファンタジー」展へ。10組の作家によるタイトル通りのグループ展だが、世代差による表現の違いを強く感じる。とりわけ、何気ない記念・集合・家族写真をもとにしたと思われる構図が、具象的なイメージを残しつつ、どろどろに融解し、抽象化され、記号化された小西紀行の絵画群が強く印象に残った。

2014/07/20(日)(五十嵐太郎)

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《海遊館》

[大阪府]

ケンブリッジ・セブン・アソシエイツが手がけた《海遊館》を訪れた。まずエスカレーターで一気に最上階までアクセスする。屋上の屋外展示を経て、室内に入ると、やがて目玉となる巨大な水槽に出会う。スペクタクル的な空間のスケールをもつ、十字の水槽のまわりを降下しながら、さまざまな角度と高さから鑑賞しつつ、その脇にも異なる環境の展示空間を付設する。なるほど、よくできた動線だ。とくに同一の小さな水槽に対して、高さを変えて何度か観察できるのが興味深い。自然が創造する生物の造形の凄さと多様さをこれだけ見せつけられると、美術館より水族館の集客があるのもうなずける。




展示風景

2014/07/20(日)(五十嵐太郎)

機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDAM

会期:2014/07/12~2014/08/31

大阪府文化館・天保山[大阪府]

海遊館の隣で開催していた機動戦士ガンダム展へ。スペースコロニーの模型がカッコいい。展示の内容は、もっとも多くの人が最大公約数的に思い出を共有できるファーストに絞っているので、名台詞に彩られた懐かしい名シーンの数々を絵コンテ、アニメの映像、模型による戦闘シーンの再現、美術設定など、多面的に楽しめる。コロニー落としの美術設定の場面は、その背景をよく見ると、ブルックリン橋や世界貿易センタービルが描かれており、ニューヨークの街だ。それにしても、以前、大阪文化館はサントリー美術館だったわけだが、同じ場所で現代美術家によるガンダム展や「THE ドラえもん」展を開催していた。しかし、今はベタにガンダム展やドラえもん展が開催されている。サブカルチャーが博物館化したのか、現代美術の役割が弱くなったのか、考えさせられる。

2014/07/20(日)(五十嵐太郎)

8gram Photo Exhibition "Time Line" 時間の切り取り

会期:2014/07/15~2014/07/20

gallery take two[京都府]

写真でつながるSNS "Instagram"で知り合った仲間8人による写真のグループ展。am.9:00やpm.9:00など、展示は時系列でそれぞれの写真が混在するように構成されていた。草花や何気ない日常の風景、物語を設定したもの、詩情あるもの等いろいろだったが、写真はほぼ統一されたサイズで並列していたので全体に美しくもあり、オムニバスドラマを見るような面白さもあった。今となってはこんなグループ展はよくあるのかもしれないが、各々の視線をタイムラインで一望する試みが、たまたま出会うという「縁」の不思議と可能性などを感じさせ、普段実際には関わることのない人々のつながり方やそれぞれの生活へも想像が巡って興味深かった。

2014/07/20(日)(酒井千穂)

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