artscapeレビュー
2016年02月15日号のレビュー/プレビュー
旧岩崎邸庭園
[東京都]
国立近現代建築資料館に入るのに、旧岩崎邸庭園を経由した。考えてみると、学生のとき以来の訪問であり、鈴木博之先生の演習だったかもしれない。その後、ヨーロッパで相当数の様式建築を見たので、コンドルによる細部の変容、あるいは誤用? がよくわかる。それにしても、和館と庭をつなぐ石のデカイことに驚かされた。
2016/01/15(金)(五十嵐太郎)
みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究室の建築
会期:2015/12/03~2016/03/13
国立近現代建築資料館[東京都]
ドローイングのほか、《八王子大学セミナー・ハウス》の巨大模型、《日仏会館》の手摺や建具などの立体もあり、バラエティに富む気合いの入った内容だった。手描き図面は、犬や猫もいる! 外構、赤ん坊も描かれた室内、家具の緻密な書き込みが印象的である。コンピュータが当たり前になったからこそ、メディアの差が際立ち、手描きの特徴やよさがより理解しやすくなったかもしれない。
2016/01/15(金)(五十嵐太郎)
ボッティチェリ展
会期:2016/01/16~2016/04/03
東京都美術館[東京都]
彼の師フィリッポ・リッピ、彼の弟子にしてライバルになったフィリッピーノも併せて紹介し、海外から多くの作品を集めている。ただ、ボッティチェリの描く顔はひときわ優美で、比べると違いが明快だ。ベタだが、愛される顔を描けることは重要なのだ。
2016/01/15(金)(五十嵐太郎)
鎌倉からはじまった。1951-2016 PART3:1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生
会期:2016/10/17~2016/01/31
神奈川県立近代美術館鎌倉[神奈川県]
鎌倉館最後の企画展「鎌倉からはじまった。1951-2016」のいよいよ最終回。開館した1951年から65年までに開かれた展覧会の出品作品から、萬鉄五郎《日傘の裸婦》、古賀春江《窓外の化粧》、松本竣介《立てる像》、麻生三郎《自画像》など100点近い絵画、彫刻を選んで公開している。今日はクロージングパーティーがあるので中庭はすごい人だかり。考えてみれば、現館長の水沢勉さんが生まれたとき(1952年)すでに美術館はあったのだから驚きだ。いや、これは驚くべきことだろうか。ヨーロッパでは開館100年、200年の美術館なんてザラにあるから珍しくもないが、近代美術館としてはやはり驚いていいかもしれない。なにしろニューヨーク、パリに次ぐ世界で3番目の近代美術館なのだから。でもそれより驚くべきは、この65年間で歴代館長は7人、学芸職は館長も含めてのべ31人しかいなかったこと。こんなに少数精鋭で安定した美術館はほかにないんじゃないか。
2016/01/16(土)(村田真)
CCC展覧会企画公募 NCC2016 第8回入賞展覧会企画 新宅睦仁「コンビニ弁当の山」、大門光「ガンマ」
会期:2016/01/12~2016/02/13
静岡市クリエーター支援センター[静岡県]
静岡へ。しりあがり寿、小崎哲哉とともに審査を担当したCCCのニュークリエイターズコンペ2016の企画コンペで選ばれた作家の展覧会を見る。まず新宅睦仁は、コンビニで大量廃棄される弁当を積んだ富士山の大きな絵と酒の水面により、儀式的な空間を演出する。ただ、絵にもっと迫力が欲しかった。もうひとつが大門光による「ガンマ」展。マンガの絵と言葉の文法を解体しながら、世界を変えていく試みだ。奥に進むにつれて、だんだん絵画が崩れていくようなインスタレーションとして興味深い。絵の支持体の扱い、色などもユニークである。ただ、理論的、手法的な探求としては、まだこの先があるように思う。
写真:上=新宅睦仁、下=大門光
2016/01/16(土)(五十嵐太郎)