artscapeレビュー

2010年10月15日号のレビュー/プレビュー

エサシトモコ展──FIGURE

会期:2010/09/21~2010/10/02

ギャラリーなつか[東京都]

テラコッタで器のようなものをつくっているが、細部を見ると無数の小さな人のかたち(フィギュア)をつなげて成り立っているのがわかる。この大量の人たちを窯で焼いて固めたそうだ。恐ろしい。

2010/09/24(金)(村田真)

青木恵美子 展──静かな始まり

会期:2010/09/20~2010/09/25

ガレリア・グラフィカbis[東京都]

赤や青が茫洋と広がる表現主義的抽象画、と思ったら奥行きもあるし、ところどころ白い球状の点が描かれているし、どちらかといえばイリュージョニスティックな幻想画に近い。別にどちらがエライというわけでもないが。

2010/09/24(金)(村田真)

松浦浩之 個展「Super Acrylic Skin-Sweet Addiction」

会期:2010/09/01~2010/09/25

東京画廊[東京都]

アニメのキャラクターのようにフラットで滑らかな肌をもつ、スーパーアクリリックスキン。「スーパーフラット」みたいなもんですかね。本来は印刷媒体かディスプレイ上で見るのに適したテクスチュアなきテクスチュアを、あえてキャンヴァスに手描き(かどうか知らないが)で単品生産するところに、この作品のアートたるゆえんと、それゆえにアートが本来的に抱え込まざるをえない自家撞着を体現しているように思える。それが「スイートアディクション」なのかしら。

2010/09/24(金)(村田真)

石上純也 展

会期:2010/08/24~2010/10/17

資生堂ギャラリー[東京都]

建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか? この長ったらしいタイトルを縦にしたら出品作品のひとつになるかもしれない。という、建築展とは思えないほど楽しい展覧会だ。だいたい石上の作品は美術館やギャラリーでしか見たことがないし、それも薄いテーブルがかろうじて立っていたり、銀色の巨大な立方体が宙に浮いていたりという、とても建築とはいえないものばかり。おそらく彼にとって建築とは、人のかかわる空間を創出すること、くらいのゆるい定義でしかないようだ。今回はそんな彼のイメージトレーニングのような建築プランを60個ほど、スケッチ程度のマケットとメモにまとめて公開したもの。たとえば、どこまでも水平な橋をつくって地球を一周させ、柱のいらないリング状の橋にしてしまう「水平の橋」とか、高い壁で海水をせき止めて海底を新しい陸地に変えてしまう「海のなかの環境」とか、フツーの建築家なら考えない、いや考えちゃいけないような奇想天外なプランも多い。がしかし、ドバイあたりではかつて実現不可能と見られていた夢のような建築が次々とつくられているのだから、ひょっとしたらこれから実現できてしまうかもしれない。そうなったら環境問題とか構造計算とか資金集めとか大変そう。

2010/09/24(金)(村田真)

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ロレンツォ・フェルナンデス

会期:2010/09/10~2010/10/02

ギャルリーためなが[東京都]

なぜかスペインと中国はいまだに極端なスーパーリアリズム絵画が盛んだ。そのスペインの画家の個展。モチーフは身近な日用品を組み合わせた静物だが、そのなかに日本のコインを紛れ込ませていたり、背景にウォーホルをはじめポップアートの絵を配していたり、サービス精神にあふれている。だいたい写真以上に(?)写真そっくりに描こうという心理は、見る人を驚かせ、喜ばせたいというサービス精神に起因しないか。

2010/09/24(金)(村田真)

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