2017年11月15日号
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artscapeレビュー

荒木経惟写真展「男─アラーキーの裸の顔男─」

2015年05月15日号

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会期:2015/04/24~2015/05/06

表参道ヒルズ スペース オー[東京都]

月刊誌『ダ・ヴィンチ』の巻頭を飾る「アラーキーの裸の顔」の連載が200回を超え、それを記念して展覧会が開催された。1997年2月25日撮影の「ビートたけし」から2014年12月19日撮影の「北野武」まで、17年間、210人の「裸の顔」が並ぶと、圧巻としかいいようがない。連載開始から16年以上が過ぎ、750人以上を撮影したという『週刊大衆』掲載の「人妻エロス」のシリーズもそうなのだが、荒木の仕事の中に、文字通り「ライフワーク」といえそうな厚みを持つものが増えてきている。
荒木はいうまでもなく、森羅万象を相手にして撮り続けてきた写真家だが、「男」を被写体とする時には、普段とはやや違ったエネルギーの出し方をしているように感じる。いつものサービス精神は影を潜め、ひたすら「裸の顔」に向き合うことに全精力を傾けているのだ。結果として、このシリーズは尋常ではないテンションの高さを感じさせるものになった。それをより強く引き出す役目を果たしているのが、モノクロームの銀塩バライタ紙によるプリントだろう(プリント制作は写真弘社)。今回は、雑誌の入稿原稿を、そのままフレームに入れずに展示することで、荒木の撮影の場面に直接立ち会っているような臨場感を感じることができた。モデルの中には「五代目中村勘九郎」「忌野清志郎」「大野一雄」「久世光彦」のように、既に鬼籍に入った人も含まれている。荒木がまさに彼らの生と死を丸ごと写真におさめようともがいていることがよく伝わってきた。
このシリーズ、いつまで続くのかはわからないが、オープニングに登場した荒木の元気さを見ると、まだしばらくは「裸の顔」を直に目にする愉しみを味わうことができそうだ。

2015/04/23(木)(飯沢耕太郎)

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