artscapeレビュー

上野千紗「mirror」

2015年05月15日号

会期:2015/04/07~2015/04/12

KUNST ARZT[京都府]

本物の植物の種と造花をそれぞれ用いて、生/死、自然/人工の境界の曖昧さを問うインスタレーション。病室に入るように半透明のカーテンをめくってギャラリーの第一室に入ると、植物の種が植えられたプランターが整然と並べられ、人工的な水色をした栄養剤が点滴のようにセットされている。ここは生命を育む場所でありながら、人工的な管理が行き届いた工場か実験室のような無機質さに支配されている。
一方、第二室では、一枚ずつ剥がされた造花の白いバラの花びらに、花言葉が刺繍され、蝶の標本のように並べられている。人工物である造花が、刺繍という手仕事を施すことで、むしろ生き物のような有機的な表情に近づいていく。管理された生/死や人工/自然の境界の撹乱に対する批評性を読み取ることは容易いが、詩的な美しさと相まって、今後の期待値を感じさせる展示だった。

2015/04/11(土)(高嶋慈)

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