artscapeレビュー

六本木アートナイト2015

2015年05月15日号

会期:2015/04/25~2015/04/26

六本木ヒルズ+東京ミッドタウン+国立新美術館など[東京都]

夜11時ごろから2時間ほど徘徊してみた。ヒルズの毛利庭園に置かれたチームラボの《願いのクリスタル花火》は、円筒形に吊るしたクリスタルに観客がスマホから選んだ打上げ花火を投影できるというもの。これは華やかだけど、金がかかってそう。街なかのビルの一室でやっていた曽根光揮の《写場》には頭をひねった。スクリーン上にカメラおやじが登場し、スクリーン前の椅子に座った観客を撮影するという参加型の映像インスタレーションだが、1分もたたないうちにいま写した写真がプリントされてスクリーン上に一瞬だけ映し出される。どういう仕掛けか、スクリーンと現実が交錯するのだ。さてそんなインタラクティヴなメディアアートが大勢を占めるなか、ひとり反旗を翻すかのようにアナクロ・アナログ路線を突っ走ったのが中崎透の《サイン・フォー・パブリックアート》。六本木の各所に置かれたパブリックアートをダサいスナックの看板みたいに仕立てた秀作。これはおもしろい。でも元作品を知らなければ理解不能だけど。ともあれ夜通し人騒がせなアートイベントであった。

2015/04/25(土)(村田真)

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